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松浦鉄道 日帰りの旅「つなぐ列車 レトロン陶都ものがたり」参加レポート

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去る10月22日、松浦鉄道のレトロン号を貸切って開催された、JTB佐賀支店主催の日帰りツアー「つなぐ列車 レトロン陶都ものがたり」に参加してきました。松浦鉄道は以前の記事で佐世保駅から有田駅まで全線制覇したものの、到着駅となる有田駅ではほぼお店が閉まりかけている時間だったので、今回はちょっとしたリベンジ。観光案内や車内での食事も楽しめるとあって、前回の旅とは違う気持ちで出発です。

 

集合は観光案内所

今回のツアーの集合場所は、有田駅のすぐ近く、斜めになった赤い外観が目を引く「KILN ARITA(キルン アリタ)」。登り窯をイメージしたもので、キルンとは窯の意味です。観光案内所として、沢山のパンフレットの設置やレンタサイクルの受付なども行われ、中にはこんなものも。

有田窯業大学の学生さんの若い感性がいかされて、とっても可愛いお土産になりそうですね。シークレットの街並みが気になります。そのほか

有田焼を焼くときに使う窯道具の「ハマ」が100円で販売されています。素焼きの丸い陶器なので、コースター代わりに使えますよ。

今回のツアーの参加者が揃ったところで、手渡されたのがこちら

ワイヤレスのイヤフォン。これから「有田まちなかガイド」さんの案内で、有田駅前商店街の散策をするのです。これをつけると、ガイドさんの声が耳元に届くというもの。ガイドさんのお話というと、修学旅行での拡声器のイメージだったので、いまどきのツアーの進化には驚きです。

 

ガイドさんに教わるディープな有田

今回、ガイドをしてくださったのは岩崎数馬さん71歳。生まれも育ちも有田町で、元は郵便局長さんだったという岩崎さん。今年ガイド7年目で、退職されてから、あらためて有田の歴史や魅力を勉強されたそうです。そんな岩崎さんのガイドを聞きながら出発し、しばらくして通った道がこちら。

車で来ていたら知らなかったであろう、路地裏の細い道。ここは伊万里や佐賀を結ぶ旧街道とのこと。日本地図を歩いて制作した伊能忠敬も、この道を通ったそうです。歩いてこそ体感できる、生きた有田の歴史ですね。そこから色んなお店が立ち並ぶ「やきもの通り」へ。

岩崎さんに案内されたお店は、創業明治41年の『かねふる 古田商店』。

ホテルや旅館で見かけるような大きな美術品もありますが、中に入ってみると300円で販売されているお手頃なカップや、香りを逃がさない作りで三つ足高台が特徴の香酒杯など、日用に使いたくなる商品が沢山並んでいました。

しかしなんといってもここで目を引くのは、店内奥にあるこれ。

こちらなんだと思いますか?大小、様々な形のお椀が串に刺さっています。これは『椀琴』といって、有田焼のお椀を叩いて音を奏でる楽器なんです。6~70年前に一度作った方がいたそうですが、平成17年にあらたに復活されたとのこと。見た目は鍵盤のように並べられていますが、実際の音階は、お椀そのものの厚みや大きさで奏でられているそう。割れたらその音を再現するのが大変なので、今では同じ窯元さんのお椀を使っているそうです。

ここでみなさんのために、お店の方が「ふるさと」を演奏してくださいました。土でできたお椀が奏でる音は、鉄琴とも木琴とも違う、広がりを持った澄んだ音色。まるで大地のやさしさに包まれたような気分になりました。お店に行った際は、自由に演奏することもできますよ。

お店を後にしたら、いよいよ有田駅に向かいます。岩崎さんの後について街並みを歩いていると、いろんなお店の店先に気になるポップが。「昭和の逸品展」と書いてあります。参加店のショウウィンドウなどに、それぞれのお店が持つ昭和時代の品や写真が飾られているようです。レトロな街並みによく似合い、どれもじっくり楽しみたくなりましたが、今回はツアー。列車の出発時刻も迫っていることですし、みなさんの足並みに追いつきながら有田駅へ。昭和の逸品は、また来るときの楽しみにしておきましょう。

 

いざ レトロン号へ

有田駅に到着すると、やがてやってきたレトロン号。通常の路線でももちろん走っていますが、今日は特別。

このツアーのための貸し切り列車です。レトロン号はビール列車などにも使われるように、テーブルが設置できたりトイレがあったりと、イベント列車として大活躍。感染対策もしっかりとりつつ乗車すると、車内でもこの方が列車の旅を盛り上げてくれます。

列車が動き出すと、これから通る駅にちなんだお話や見える景色、有田町の歴史に基づいた説明などをしてくださるので、お勉強になることばかり。ツアーの参加者には有田周辺の方もいらっしゃったようですが「初めて聞いた」などという感想も漏れていましたよ。

やがて、レトロな木造の駅舎で人気の「蔵宿駅」に止まりました。

ここで、この後いただくお弁当を受け取ったようです。どんなお弁当なのか期待が膨らみます。

なんでもないような景色でも、岩崎さんの説明をうけると、これまでと違って見えてくるから不思議です。「向こうの通りが旧道で、あの道をリヤカーなどで有田焼が運ばれていました」「有田焼を作るのに適していたのは、陶石(粘土になる土)があり、燃料となる赤松があり、このような流れのある川があったからです」「この駅では昔、石炭を積んでいました」などなど。どれも目の前に景色とともに話を聞けるので、今と昔がオーバーラップしてくるようでした。

そうこうしてるうちに、伊万里駅に到着。ここからは案内してくれる方がバトンタッチです。すごくお若く見える48歳の村上武大さんは、地域商社 伊萬里百貨店の代表。伊万里市街地の活性化を目指した「特定非営利活動法人まちづくり伊万里」が母体となって、伊万里の魅力ある商品の開発や発信をされているんだそうです。ここからの案内、よろしくお願いいたします♪

ここから松浦に向かう車内が、お楽しみのお弁当タイム。今回のツアーで用意されているのは「有田焼五膳」です。有田の飲食店では有田焼に入って出されるご当地グルメですが、車内ではさすがに安全なお弁当箱。しかし、五つの方法で有田町産のありたどりを美味しく調理するというこだわりに、変わりはありません。

この日のメニューは、蒸し鶏のカルパッチョや鳥シュウマイ、南蛮など、見た目にも色とりどり。有田の郷土料理のごどうふや、伊万里産の梅を使ったシロップジュースなど、最後まで美味しくいただきました。お土産として、有田焼の可愛い豆皿もいただきましたよ。

伊万里、松浦間は海沿いを通ることもあって、ビューポイントが目白押し。

 

村上さんの、某テレビ番組で紹介された「家と駅が一緒にある場所」や「伊万里には漁師さんは少ない」話、「伊万里湾の塩田」話など、どれも楽しく聞きながら松浦駅を折り返す、これまたお楽しみのスイーツタイムがやってきました。

伊万里産の栗を使ったモンブランショートケーキと和紅茶です。渋皮ごと使った栗は味わい深く、甘すぎないスポンジにも、栗の甘みの効いたクリームにも、それぞれに素材の良さを感じ、まさに大人が楽しむスイーツになっています。縦に細長い容器に入れられていることで、見た目が可愛いだけでなく、揺れる車内でも食べやすいスタイルになっているんですよ。スッキリした和紅茶は、一口ごとに口の中をさわやかにしてくれました。

再び伊万里駅に着くと、そのモンブランのケーキを作ってくださった「伊万里菓舗うちだ」さんが、駅構内で特別販売されていました。1955年創業のうちださんは、和菓子や饅頭などを受注生産していたお店。今では三代目が受け継ぎ、洋菓子も生産されています。厳選した素材や昔ながらの丁寧な製法で人気も高いのですが、実は店舗を構えておられません。受注生産、もしくはイベントでの出店のみなのです。ということで、そんなうちださんの貴重な出店は見逃せません。

先ほど車内で村上さんから聞いた、伊万里湾の塩「波浦の塩」を使った酒饅頭に、渋皮付きの伊万里産の栗が丸々入ったパイ、代々人気のわらび餅など、ここぞとばかりに購入。隣で、伊萬里百貨店さんが波浦の塩を販売されていたので、それもお買い上げです。我ながら良いお客さんだと思いますが、ここでしか手に入らないものこそ、旅に来た時のお宝だと思うんですよね。

 

有田駅に到着

車窓を楽しんで、ガイドを楽しんで、お弁当やスイーツを楽しんでいたら、あっという間に有田に戻ってきました。それほど充実した時間だったんだと思います。ツアーに参加すること自体ほとんど経験がなかったのですが、地元のガイドさんによる詳しい案内はもちろん、食べるところを探さなくていいという気軽さは、ツアーならでは。また新たな経験を得ることができました。帰りは、前回の旅でゲットできなかった「有田焼カレー」も購入。その日の、ちょっぴり贅沢な夕食になりました。

有田は今、11月14日までの土日祝日と、11月19日(金)~23日(祝)の期間『秋の有田 陶磁器まつり』が開催されています。買い物だけでなく、町内各所でさまざまな体験も用意されているので、心地よいこの季節、有田の街並みをぜひ散策してみてください。松浦鉄道に乗って伊万里まで足を延ばすのもおススメです。

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