住まいリング させぼ

世知原からサカキを届けたい、農業のチカラ。

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ところで皆さん榊をご存じですか?
漢字の読みは「サカキ」。
漢字のなりたちは神の横に供える木。
例えば、家を建てる際は
神主さんをお呼びして、地鎮祭などのお祓いなどをしたりしますよね。
古くからの風習やお祭りなど、日本の神道行事には欠かせないです。
ご自宅や職場には神棚がありますか。

今回住まいリングさせぼ編集部は、
「その榊(サカキ)を佐世保で育てている若手の農家さんがいるよ!」と連絡を受けました。なんともありがたい話しです。
今回ご紹介したい農家さんは、世知原の前田さん、年齢は44歳。
30代になってから、自然と家の手伝いをされています。農業への気持ちが熱い方です。

年末、佐世保・知見寺から世知原へ入りました。
世知原へ続く峠の下り坂は
手のよく行きとどいたさざんかの花が彩り豊かに咲いていました。

前田さんの作業場は10坪くらいの納屋。
目に飛びこむのは、深緑としたサカキの枝や束たち。
「こんなの見るのは初めて!」と言わせるサカキの大きさや束。
「そうですか~」とにこりと、前田さん。

「やっぱり収穫したては格段に違いますね!!」

それもそのはず、店頭で売られているのは中国産が約9割だとか。
船などに揺られて1ヶ月もの時間が経てば植物も疲れてしまいます。
コロナ禍において中国産の輸入が滞り、最近は国内産の需要が高まっているのだとか。
日本の神事、できることなら国産のサカキを使いたいですよね。
その想いと相まって、いまや長崎や福岡などからの引き合いで、出荷が追いつかない時も。

メイドイン世知原のサカキが、色んな場所で使ってもらえていると思うと、佐世保市民としても誇らしくなります。ほんと綺麗なサカキです!

前田さんは、JAながさき西海・サカキ部会の会長さん。
会は平成30年に発足。現在は33名が在籍されているのだとか。
全国でも珍しいサカキ部会には89歳の現役農家さんも。皆さん元気です。
その会員さんで合わせて約30町※ にもおよぶ山や畑をまかなっているのだとか。
想像つきません??
それでも、長いこと管理をされてきたと思うと、多くの方々の努力と苦労がうかがえます。

※約30町
調べると、かなりの大きさになることが分かりました。
1町は約10,000㎡(約3,000坪)。30町は300,000㎡(約90,000坪)です。
サッカーコート1面に置き換えると・・・1面が約7,140㎡(約2,160坪)
約44面分にもなります(※目安で見てくださいね)

--サカキを育てるきっかけは
世知原地区でのサカキづくりは約30年前までさかのぼります。
いまの部会の人たちが40代~50代の頃です。
前田さんは、世知原町黒石地区に圃場を持つ代々続く農家さん。
祖父の代で山林を開拓開墾し、大根や人参を生産。
父の代にはお茶の木を新植し、今なお良質な生葉づくりに日々取り組んでおられます。
(ご存知の方もいらっしゃると思いますが、世知原は板山大根、世知原茶の生産が有名なところです。)
「若い時はこれでもよかばってん、歳をとると大根を出荷するのも重労働…」
畑仕事はその年の日照時間や降雨に影響されやすく収穫も不安定。
「歳をとってからも何か安定した収入で、楽しみになるような農作物を!」
世知原の農家さんは探されていたそうです。
木材は外国産におされ、価格がよくありませんでした。
そんな中、先祖さまが庭先にサカキを植えていることに気づいたり。山に自生しているサカキをみつけたり。それで、みんなで調べてみる事に。
品質もよさそうだし、「皆でサカキの苗から育ててみよう!」と世知原での機運が高まりました。
林業をしていた兼業農家さんなどは、杉やヒノキの間伐した場所にも、サカキを植え始めました。

--サカキが育つのは時間がかかりますか

苗を植えて約3年~5年である程度の高さや大きさに。
それでも、お店で見かける1束ができるかどうか。
そこから約5年をかけると、幹が約2~4mの高さに成長します。生育のよいサカキは約5メートルまでに。
ミカンコンテナ箱を裏返して乗るくらいの高さくらいで「台切り」(幹のてっぺん・こずえを切る)し、低く調整されている方も。
ある程度の量を収穫するまでには10年程かかります。
育ちの良いサカキに適した場所は、“朝の半日陽があたり、それから半日で陽が陰る”ところ。
世知原の地形は盆地になっていて、サカキづくりにも適しているのではないでしょうか。

--どれくらいのペースで出荷されていますか
私は月に3~4日ある出荷日に合わせ
一回あたり100~200束をJA(農協さん)へ納めています。

部会の皆さんも収穫から結束までお一人、またはご夫婦で、ゆっくり自分のペースで作業されていらっしゃいます。
部会の方々が歳をとってもできる農業としてサカキの苗を植え始められ、頑張られてきたサカキづくり。
少しずつではありますが安定して収穫できるようになったのは感慨深く、嬉しい限りです。

--このサカキはどこで買えますか。
部会員さんのサカキは、世知原ストア、国見の郷(世知原)、ソレイユ吉井、佐世保のスーパーのじげもん売り場などで購入できます。
見かけたら買ってみて下さいね!編集部もオススメします。

--これからのサカキづくりの目標や課題はありますか
ご承知の通り、世知原でも農家の高齢化が進み、栽培を断念する農家さんが増えています。
サカキ部会はJAさんと協力して
「世知原サカキサポートシステム」を約5年程前に整えました。
サカキづくりの工程は
①栽培 →②収穫 →③管理 →④結束 →⑤流通の5つに分かれています。
例えば、①栽培 を断念した部会員さんの農地を他の会員さんでお手伝いしたり、
②の収穫と④結束の作業が負担になれば、作業員を増やすために作業をできる人を育成し、手伝ってもらう。
通年、サカキの生産者を支え、
市場の需要に応えるため部会全体でサポートしています。
しかし、いまの部会員を互助する現状では、余裕も多くありません。
例えば、サカキの結束作業など、
佐世保で住まれている年配の方が、やりがい・生きがいの作業にできたら。
農業×はたらくが上手く連携できたら。
いまの課題が解消し、佐世保の農業が発展するのではないかと考えています、目標ですね。
そして、「今後は、協業すること。これからの街づくりを豊かにするのかもしれません、やっぱり農業は楽しいです!」
そのこと言葉には、農業、そして佐世保への愛がつまっていました。

あとがき

最後にサカキのサイズを測る道具を撮影させていただきました。
S、M、Lのスケール、
前田さんかっこいいです!THE仕事道具って感じで!!

さっそく、その榊を事務所の神棚に飾ってみましたよ。

ここでお話を聞くことで
「させぼ・世知原」「農業」の魅力を再発見できました。
前田さん、年末の忙しい時にありがとうございました。

世知原・移住就農のパンフレットは
各就職支援窓口や市役所農林課などで手にできます。
まずは佐世保を知ることから始めてみませんか。

佐世保市役所HP:https://www.city.sasebo.lg.jp

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「住まいリングさせぼ」編集部長

橋本鎌嗣(ニックネーム:もっちゃん)
「住まいリングさせぼ」編集部長

佐世保生まれ、一児のパパ。サイト監修者であり、佐世保・小値賀「海風の国」観光マイスター。宅地建物取引士の資格も有し、不動産や住まい、暮らしのアドバイスも。「佐世保に住もうよ!愛する地元の魅力をもっと伝えたい!!」

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