世界遺産の廃墟「軍艦島」に思いを馳せる…諸行無常の響きあり。

軍艦島アイキャッチ 暮らす

突然ですが・・・あなたは「廃墟」に興味惹かれることはありますか?
最近はYouTubeなどでも廃墟動画などが紹介されるようになり、廃墟マニアが密かに増殖中。#廃墟女子 と言われる女性ファンも多いようです。
実はここ九州エリアにもかつて賑わっていたレジャー施設、学校校舎、水族館などの有名廃墟スポットが多数存在します。

「栄枯盛衰」と言う言葉がありますが、どんなに栄えたものであっても未来永劫それが続くものではありません。月日の流れというものは残酷で無常なもの。
建物は老朽化し、次第に滅びていきますが、そこには人々の存在や生活、思い出があります。しかしそれらは時と共に風化してしまう・・・。
そのような様に何とも言えぬ虚無感を感じ、過去に生きた人の記憶を回想して哀愁を感じる。あなたはそんな体験をしたことはありますか?
本日は、そんな「廃墟」の魅力をお伝えしていきたいと思います!

廃墟萌え!世界遺産「軍艦島」とは

インスタグラマーやYoutuberなどの間でも「一度は訪れてみたい!」と人気なのが、長崎の端島、通称「軍艦島」です。歴史的な炭坑跡地として世界遺産としても知られている巨大廃墟島です。
軍艦島は、2015年7月5日に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 ~製鉄・製鋼、造船、石炭産業~」として正式登録されました。
島の形が軍艦「土佐」に似ていると言うことから軍艦島と呼ばれるようになったと言われています。
フォトグラファーの佐藤健寿氏の代表作「世界の廃墟写真」や「THE ISLAND 軍艦島 」にはリアルな写真の数々が収められています。

軍艦島(端島)の歴史と現在

軍艦島の中02

日本の歴史においてこの地での炭鉱産業は欠かせないものでした。
隣接する高島炭坑と共に、端島では多くの坑夫労働者が働き、近代日本の産業革命に貢献したのです。
最盛期だった昭和35年頃は約5300人もの住人がいたと言われています。さらには日本で最も人口密度が高い地域だと言われました。
そんな島には学校や病院など生活に必要な施設は殆ど整っており、映画館やダンスホール、パチンコホールなど娯楽施設もそろっていました。

炭坑で働く鉱夫の仕事は命の危険を伴う大変な仕事でした。その分、賃金は高く、彼らとその家族の暮らしぶりは当時の日本人の一般家庭の水準と比較してもやや豊かな生活水準だったと言われています。
当時はまだあまり普及していなかったカラーテレビなどの家電製品は日本一の普及率だったと言われています。

そのように様々な歴史があり人々の暮らしがあり、活気あった島でしたが、主要エネルギーが石油に大きく変わるタイミングで石炭需要が減り、1974年、炭坑はついに閉鎖されました。そして、無人の島となったのです。

船から見た軍艦島

その後、長らく建物などが壊されずにそのままの姿で放置され、巨大な「廃墟」と化し、現在も存在しています。なお、2009年に一般人の上陸が可能となり、現在では「軍艦島ツアー」として多くの方がその姿を拝みに訪れるようになりました。

軍艦島への上陸と見学ルートについて

軍艦島の中05

島への上陸について、一時は中止されていましたは現在は再び一部エリアで再開されているようです。ツアーでは、第2竪坑跡、レンガ造りの総合事務所、日本最古の鉄筋コンクリート造と言われる30号アパートなどが見学できます。
長崎・佐世保からもツアー船が出ていますので、各会社の案内を比較参照されてみてください。

またGoogle社は長崎県の協力を経て、軍艦島の立ち入り禁止エリア内も探検できるようにストリートビューを作成しています。
かなり精度高く、リアリティを味わえますので興味のある方はアクセスしてみてみられてはいかがでしょうか。廃墟萌え、間違いなしです。

Googleストリートビュー >>

廃墟は、過去を生きた人の未来の姿

軍艦島の中05

軍艦島は、被写体として注目されることが多い「廃墟」ですが、訪れる人の多くがそこでしか見られない景色、過去の記憶を残すためにも写真に収めるのではないかなと思います。

ただ歴史文化を感じるのとは違う、廃墟観察。
「廃墟萌え」なる感情とは、それらが錆びたり、朽ちたり、ボロボロに壊れた姿になっていながらも、そのままの姿で今もそこに在るところにロマンを抱くことなのです。

ただ歴史文化を感じるのとは違う、廃墟観察。
「廃墟萌え」なる感情とは、それらが錆びたり、朽ちたり、ボロボロに壊れた姿になっていながらも、そのままの姿で今もそこに在るところにロマンを抱くことなのです。

想像しながら耳を澄ましてみる・・・。
目に見えない何かを感じてみる・・・。

そこには、かつてあった人々の生活、想い、辛いことも、楽しい日々も、いろんな想いが詰まっています。
誰かにとってはかけがえのない大切な場所で、誰かにとっては想像を絶する辛い体験の場所かもしれません。自身の人生を重ね合わせる人もいるかもしれません。

“思い出はずっと色褪せずに変わらない景色のまま。
自分は変わらない存在のままであるはずなのに・・・。
残酷にも周りはタイムスリップしたかのように早いスピードで変わっていく・・・。”

役目を終えたものは、やがて・・・忘れ去られ、静かに存在を消します。
時の流れの無常さ。
それらは自然の摂理であり、それらに身を任せる他ないのです。

しかし、見た目形はいつかなくなってしまっても、魂は決してなくなりません。
廃墟とは、過去・現在・未来をつなぐ希望。
過去を生きた人々の思い出であり、現在の姿であり、未来の姿なのです。

あなたは廃墟を見て、何を想いますか?
軍艦島を舞台にした映画「軍艦少年」がこの冬、ロードショーされるようです。

コロナという世界的なパンデミックを経て、世界は大きく変わりました。
時代の大きな流れに取り残されそうになって戸惑っている自分はいませんか?
ずっと変わらず・・・あなたの中にある〝行き場のないもの〟は何でしょうか。
機会があれば、この廃墟島をぜひ訪れてみてください。悠久の時を実感してみてはいかがでしょうか。

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「住まいリングさせぼ」編集部長

橋本鎌嗣(ニックネーム:もっちゃん)
「住まいリングさせぼ」編集部長

佐世保生まれ、一児のパパ。サイト監修者であり、佐世保・小値賀「海風の国」観光マイスター。宅地建物取引士の資格も有し、不動産や住まい、暮らしのアドバイスも。「佐世保に住もうよ!愛する地元の魅力をもっと伝えたい!!」

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