叱らない・怒らない育児という言葉を聞いたことはありますか?
近年、叱らない・怒らない育児についての育児本が大ヒットしたことで、日本中に子どもを叱らないという子育て法が広まってきました。
それに伴い、子どもを厳しくしかってしつけるのが当たり前というひと昔前の子育て方法に疑問が持たれ、今の若い親世代には叱らない子育て法が受け入れられるようになりました。
一方で、叱られずに育つ子どもたちがどのような大人になっていくのかと懸念の声が一定数寄せられているのも確かです。
今回は、そんな叱らない・怒らない育児についての心構えや、勘違いしてしまうポイントを深堀していきましょう。
目次
叱らない・怒らない育児をやっていくうえでの心構え
叱らない・怒らない育児の本質ともいえる目的は、ポジティブな伝え方で子どもを正しい方向に導いていくということです。
ダメなことはダメだとしつけながら、子どもの気持ちにもしっかりと寄り添っていくのが理想です。
この点をしっかりとおさえ、叱らない・怒らない育児を成功させるための心構えをご確認ください。
できたことを事あるごとに認める
まず、叱る・叱らない以前に、普段からなるべく子どもを叱らなくていい状態を整えることが大切で、子どもができている事にこまめに気づき、認めてあげるようにします。
例えば、自分で出かける準備をする兄弟に対して1人で準備できて偉いね!すぐに楽しいお出かけに行けるね!や、好き嫌いせず食べる様子に何でも食べれて偉いね!ママも助かるな!と声をかけるなど、子どもの頭や肩にそっと触れながら、心から嬉しそうにする態度を示してあげましょう。
親はどうしても子どものできない部分に気を取られがちですが、子どもができている事に対してちゃんと見ているよとこまめに伝わるようにしてあげると叱らなくていい状態が強化されていきます。
子どもの気持ちに寄り添い、方針をぶらさない
叱らないというのは子どもの言いなりになるということではありません。
叱らない育児だからといって何でもかんでも許してしまうと、ただ単に子どもの要求がわがままにまかり通っているだけになってしまいます。
叱らない・怒らない育児では、子どもの気持ちに寄り添いながらもダメなことはダメという一定の方針を固めておく必要があります。
例えば、公共の場で他人に迷惑な行為をしている時や子ども自身が危険な目にあってしまう時などにはこれはしてはいけないことだよとはっきり伝え、やって良いこととやってはいけないことの境界線を明確にしてあげましょう。
ただ、それはできないよと伝えた時に子どもがかんしゃくを起こしたり、泣き叫んだりした場合には、抱っこしたり背中をトントンしたりしながら子どもの気持ちに寄り添ってあげるのが良いでしょう。
重要なのは叱らない優しさとブレのないしつけの両立です。
ダメなことはダメだとしつけながらも、自分の思い通りにならず悔しいという子どもの気持ちにはしっかりと向き合ってあげてください。
叱る・怒る以外の対応の工夫
一言に叱らないと言っても、毎日の家事や育児に追われる大人にとっては簡単なことではないため、叱る・怒る以外にもいくつか代替の対応を持っておくと良いです。
子どもの気持ちを落ち着ける場をつくる
子どもは一度泣き出してしまったり、これだ!と思ってしまったらなかなかその感情から抜け出すことができないので、お家のどこかに気持ちを落ち着ける場を作っておくと良いでしょう。
例えば、大好きなぬいぐるみやお気に入りの色の家具を並べた空間をつくり、感情がこみ上げる場合にはそのコーナーまで行って、気持ちを落ち着かせてから解決策を話し合いましょう。
子どもに質問を投げかける
コミュニケーションがとれる年齢なら、子どもに質問を投げかけてみると良いです。
例えば、デパートのなかで走らないの!と大声を出す代わりに、建物の中は走っていいんだっけ?・赤ちゃんやおじいちゃん、おばあちゃんにぶつかったらどうなっちゃうかな?などと尋ねてみましょう。
頭ごなしに否定しないことで子どもは自分の頭で考えてから行動できるようになります。
選択肢を与える
子どもの年齢が小学生くらいなら、選択肢を与えてみるのも一つの方法です。
例えば、宿題を終わらせてからゲームする?それとも先に30分ゲームしてから宿題を始める?など、選択肢を提示して子ども自身に選んでもらいましょう。
子どもは人に決められたことより、自分で決めたことをより守ろうとするものです。
自分で考えて計画を立てる力はもちろん責任感や達成感も学ぶことができます。
叱らない・怒らない育児の勘違い
叱らない・怒らない育児では、ポジティブな伝え方で子どもを正しい方向に導いていくという目的を見失ってはいけません。
ここからは、叱らない・怒らない育児でよくある勘違いをご紹介していきます。
何をしても注意しない
叱らない・怒らない育児で起こる最も大きな勘違いは子どもが何をしても注意しないという態度です。
これは子ども自身が危ない目にあったり、周りの人に怪我をさせたり、迷惑をかけたりするので絶対にNGです。安易に危ないことや迷惑行為をすることにならないようにダメなことはダメとメリハリをつけて教えていきましょう。
放任する
子どもを叱らないのと放任するのは大きく異なります。
放任は子どもへの愛情不足につながることもあるので注意が必要です。
叱らない・怒らない育児は放任するわけではなく、子どもが間違った行動を取った時には慎重に伝え方を考えながら接し、子どもができた事をよく観察して認めていく必要があります。
叱られず・怒られず育てられた子どもへの影響は?
子どもの気持ちを尊重することは大切ですが、叱らない・怒らない育児を自己流に解釈してしまうのは良くありません。
大人が叱る内容には、これから社会で生きていくために必要なことや、やっていいこととダメなことの境界線が含まれています。
もし子どものやりたいことを大事にしたいという気持ちだけを優先させ、本来起こるべき問題を大目に受け入れてしまった場合、以下のような影響が出てくると考えられます。
我慢ができない
自分中心の思考になってしまう
人の言うことを聞けない
気持ちの切り替えが苦手
否定されることに弱い
人間関係のトラブルを頻繁に起こす
やってもらう受け身の態度が基本になる
こういった問題が出てくるとどうしてうちの子どもだけ…と育児で悩んでしまうことも出てくるでしょう。
子どもの年齢に合った上手な叱り方を見つけよう
叱らない・怒らない育児いかがでしたか?
簡単なようで難しい育児方法ですが、大切なのはポジティブな伝え方で子どもを正しい方向に導いていくということです。
一歩間違えると子どもが愛情不足を感じたり、反発してしまったりと真逆の効果につながってしまうこともあります。
まずは叱らない・怒らない育児をきちんと理解し、子どもの年齢や成長、理解度に合った声掛けを行っていくようにしましょう。