子どもは友達と影響を与え合いながら成長していきます。
お友達と仲良く過ごしている子どもの笑顔ほど嬉しいものはありませんよね。しかし中には、子どもに悪い影響を及ぼすのでは…と心配になるお友達がいるのも事実。親として、子どもの友達付き合いにどこまで口を出して良いのでしょうか?
就学前の子どもには、親や保育士など周りの大人が、お友達とのかかわり方を教えてください。中学生以上になると、親は子どもの友人関係に口出しする必要は基本的にはありません。
一番悩むのが子どもが小学生のケース。親として子どもの友達付き合いにどの程度介入するべきか考えていきます!
目次
子どもの友達付き合いはどう変わる?
子どもの友達付き合いは、年齢や環境によってどんどん変わっていきます。小学1年生から6年生までの子どもの成長は著しいため、親のかかわり方も変えていく必要があります。ここでは、小学校低学年と中・高学年の子どもの友達付き合いについて見てみましょう。
小学校低学年
小学1年生や2年生の友人関係は「距離の近さ」によるので、親としては把握しやすいでしょう。つまり、物理的に近い距離で一緒に過ごすと友達になります。家が近所で一緒に登下校したり、クラスの席替えで隣になって意気投合して仲良くなったり。塾やクラブで一緒に過ごして共通の体験が多いことで親しくなることも。
また、友達関係が流動的であることもこの年代の特徴。クラスの席が離れてしまったり、塾が変わって会えなくなるなど、距離が離れると親しい関係が終わりやすくなります。そしてまた、近い距離にいる子と友達になるのです。
小学校中学年から高学年
小学校3年生ごろから、物理的距離の近さだけではなく、気の合う者同士で友達になろうとします。心の繋がりが大切になってくるのもこの頃から。そして成長過程のひとつ「ギャングエイジ」の特徴が現れだします。
ギャングエイジとは、友達同士で小集団(ギャング)を作り、遊びや行動を共にする時期のこと。子どもにとって友人関係は何より大事になります。親や教師に対して反抗的な態度をとることも。
5年生前後から、子どもは家族よりも友達と過ごす時間を大切にするようになります。常に一緒に行動したり、持ち物をお揃いにしたり。親密度が増す反作用として、友達関係の悩みが多発することに。気持ちの行き違いや仲間外れ、喧嘩、物の貸し借りなど様々なトラブルが生じますが、親にも言えず1人で抱え込むことが多くなります。
子どもの友達トラブルのサインに注意!
何でも話してくれた子どもですが、成長とともに親との会話が減っていきます。いつもより沈んでいる様子があると、お友達と何かあったのではないかと心配になりますよね。子どもは、親に悩みを相談できなくても何らかのサインを出しているもの。友達トラブルのサインについて見てみましょう。
過度な仲間意識
友達トラブルのサインのひとつに、過度な仲間意識が挙げられます。社会的生活を送るのに仲間意識は必要ですが、過度な仲間意識は困ったもの。
小学生はまだまだ判断力が低いため、どんな悪いことでも仲間と一緒にやるという間違った方向に進んでしまいます。また、仲間外れにされるのを避けるため、友達に過剰に同調する言動も見られます。
過度な仲間意識は排他的なグループを形成します。個人の意見や個性は許されないため、いじめを助長する問題が発生。自己主張や自立心が育たず、友達に同調して学校か家庭のルールを破ることも多くなります。
ストレスや不安が増加しているため学校に行きたがらなくなったり、学習意欲が低下することも。言葉遣いが荒くなり、大人に反抗するようになります。
物のやり取りが増える
文房具や身の回りの品などがなくなったり、逆に見覚えのないものを持っていたり。そんなことが続くときは、友達関係にトラブルが生じているかもしれません。
仲良くなるために物を貸したり交換することが多くなると、物が返ってこなかったり壊れたりなどの問題が発生しがちに。友人関係にひびが入り、悩みを抱えることになりかねません。
物をなくし続けている子どもは、一方的に隠されたり盗られたりなど、いじめのターゲットになっているケースもあります。逆に、「友達からもらった」と言って様々な物を持っている子どもの中には、いじめる側に立っている場合もあるので注意が必要です。
落ち着きがなくなった
友達グループの中で過度に同調圧力や競争が生じている場合、子どもはストレスや不安で落ち着きをなくすことがあります。
自分の意見を言えず、個性の強い友達に従わざるをえない状態が続くと、眠れなくなることもしばしば。子どもは心身ともに疲れてソワソワし、集中力や落ち着きがなくなるのです。
最近ではSNSで友人関係を保つ子どもが増えました。過剰にSNSに反応し、チェックしたり即返信しなければならなかったりで、気になって落ち着きをなくすケースもあります。
グループの意見に従ってばかりで自己主張ができなくなると、自己肯定感が低下。自分に自信が持てず、周囲の顔色を伺わなければならないため、落ち着くことができません。子どもが妙に落ち着かないな、と思ったらその背景に友人とのトラブルが隠れていることが多いのです。
親と話したがらない
小学校3~4年生くらいから、友達関係に問題が生じていることを親に話さなくなってきます。親の反応を心配したり、自分のプライドが傷つくのを嫌がったり、「親に言うな」と口止めされていたり。悩みで気持ちが重くふさぎ込み、殻に閉じこもって誰とも話さなくなるケースも見られます。
子どもの口数が減った、部屋にこもって出てこなくなった、表情が暗いなど、いつもと違うと感じたら、まずは子どもが安心して話ができる環境を作りましょう。
親はどこまで口出ししてもいい?
子どもの喧嘩に口を出して、学校や保護者を巻き込んだ大騒動になることもあります。子どものためにも、友人関係のトラブルは穏便に解決したいもの。友人関係のトラブルは、子どもが成長するために必要なことでもあります。
友達とのトラブルは子どもたちで解決するのが一番ですが、なかなか難しいのが現状。親は、子どもの友達関係のトラブルにどこまで口出ししていいのでしょうか?
小学生の友達関係のトラブルに対する親の関わり方は、子どもの成長を促しつつも、必要なサポートを提供するバランスが重要です。まず、子どもの話をよく聞き、感情や状況を理解すること。子どもの自己解決力を育てるためにアドバイスをしつつ、直接の介入は控えましょう。
親の介入が必要なのは、いじめや暴力など深刻な問題がある時です。まずは学校と連携し、適切に対処すること。子どもが自信を持てるよう、日常的なサポートも重要です。親は、子どもが自立して問題解決できる力を育む一方で、必要な時にはしっかり支える役目があります。いざというときのために、保護者同士で良好な人間関係を作っておくことも重要でしょう。
何より大事なのは子供が自分で見極める力
たとえ親であっても、子どもの行動や交友関係をすべて把握することはできません。学校から連絡が来て初めて、我が子が問題を抱えていることを知ることもあるでしょう。親が盾となり、子どもを完全に守りたいところですが、それでは子どもは自立することができなくなります。
何より大事なのは、子どもが自分で見極める力です。
「ここまではOK、でもこれ以上はダメ」という自制心を持つことが重要。親ができるのは、特定の友達ばかりにとらわれず、多様な友人関係を持つ重要性を教えること。そして、自分を大事にし、他人を尊重する心を育てること。
心理学の「社会的絆理論」では、非行を防ぐ要因として「絆」が重要視されています。愛情ある絆があれば非行のリスクは低く、「親を悲しませたくない」という気持ちが自己コントロールを促します。親が「あれするな、これするな」と子どもの行動を制限するのではなく、親子間の絆を深めることが子どもの逸脱行動を防ぎ、悪い誘いに乗らない心の強さを育むのです。
まとめ
子どもの成長に友達の存在は欠かせません。仲良くなったりぶつかり合ったりなどトラブルを乗り越えながら大人になっていくのですが、悩んでいる子どもを見るのは親として辛いですよね。
親が子どもの友達関係に口出しできる度合は、子どもの年齢や環境などによって変わります。いじめや暴力など深刻な場合は全力で子どもを守るべきですが、軽度な場合は見守り、子どもの気持ちを支えましょう。
親は子どもにあれこれ指図せず、親子間の絆を深めるようにしてください。そうすることで子どもは自分を大切にし、悪い誘いに乗らない自制心が育ちます。
親子の会話を意識的に高めたり、様々な経験を共有して絆を深めることが、子どもに安心感と自信をもたらします。親子の絆が、親から見えない場所でひろがっていく子どもの友達関係を支えるのです。