この記事では子どもの偏食の悩みを解決するヒント!と題して、偏食の特徴や原因、年齢別の対応方法などをご紹介していきます。
偏食とは?
好き嫌いという言葉とも並べられる偏食ですが、辞書によると、偏食は食べ物に好き嫌いがあって、好きなものしか食べないこと(三省堂国語辞典より抜粋)と記されています。一般的には、
健康に影響が出てしまうほど食べられない
たくさんある食べ物の一部しか食べられない
通常の好き嫌いに比べて食べらえるものが極端に少ない
などの場合に偏食という言葉が使われることが多いです。
偏食で何が起こるのか?
偏食で起こる大きな問題点は栄養面です。
炭水化物だけしかとらない、野菜が全く食べられないなど、特定の栄養を摂れない状況が続くと肌荒れや口内炎(ビタミンB2不足)、貧血(鉄不足)、壊血症(ビタミンC不足)などの栄養欠乏の症状が出てきます。
また、生活面における問題には、給食の時間が嫌で登校を拒否したり、給食を食べずに帰宅の時間まですごしてしまったりもするでしょう。
偏食の原因や特徴は?
子どもが食べたくないと感じ、偏食になってしまう原因や特徴をあげていきます。
食感が嫌い
感覚が敏感な子どもに多い傾向があり、いちごのつぶつぶや納豆のネバネバ、りんごの皮の舌触りなどがあげられます。
味が嫌い
人は本能的に毒や腐敗したものを避けるため、子どもは特に苦味や酸味が強い食べ物を遠ざけてしまう傾向が高いようです。
見た目や匂いが嫌い
焼き魚や納豆など、食べる前の印象が偏食に影響してしまうこともあります。
食べること自体が嫌い
学校で居残りして食べさせられた、家で残して怒られたなどの経験があると、食べること自体にマイナスイメージを持ってしまいます。
親にも好き嫌いが多い
親が嫌いな食材や料理は食卓に並びづらいので、苦手意識を持ってしまうことが多いです。
お腹が空いていない
食事は決まった時間にとり、食事前はおやつの量を調節したり、意識的に体を動かすなどしてお腹具合を整えましょう。
知らないものは食べたくない
新しいものや知らないものへの抵抗が強い子どもは、食べず嫌いの傾向があります。
過去に嫌な思いをしたことがある
過去に怒られたり、体調を崩したり嫌な体験をしていると食べることを拒否する場合があります。
口腔機能が未発達
舌の送り込みができず柔らかいものを欲しがる、すりつぶしができず噛みやすいものを選ぶなど、新しいものを食べる意欲が削られる場合があります。
食器やスプーンなどが上手く使えない
食器やスプーンなどが上手く使えない子どもは、手で食べられるお菓子やパンばかりに手を伸ばす傾向があります。
食べにくそうにしている場合には、補助スプーンやフォークを用意したり、口に運ぶのを手伝ってあげましょう。
感覚過敏がある
発達障害がある子どもの場合、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の感じ方に大きな偏りが見られることがあります。
例
揚げ物の衣が口のなかを刺すように感じる
特定の匂いが強く感じる
いちごのツブツブが怖くて食べられない
強いこだわりを持っている
強いこだわりも発達障害の子どもに多くあらわれる特徴です。
例
同じ食品を食べ続けて他の食品に興味を示さない
冷凍食品や保存食品を嫌がる
冷ご飯を食べない
同じ食品でもメーカーが変わると食べない
感覚過敏・強いこだわりは生まれつきの感覚なので本人の努力だけで改善できるものとは限りません。
気になる場合は医療機関に相談しましょう。
子どもの偏食への対応
偏食への対応として一番大切にすべきことは偏食は絶対にだめという考え方を捨てることです。子どもが食事を好きになるよう楽しさや興味をそそる雰囲気作りを考慮しつつ、子どもの偏食への対応を各時期に分けて紹介します。
離乳食期
口腔機能や消化器官が未熟なため、子どもの発達段階に合わせて使用する食材や調理方法を工夫する必要があります。
固さや食べやすさに配慮する
固すぎないか、大きすぎないかに重点を置き、子どもが咀嚼する様子を見ながら調理方法を変えて対応していくことが大切です。
食べてくれるものを出す、食べなくても何度か出してみる
バナナやパン、ヨーグルトなど、食べやすく子どもが好む傾向が高い食品を多めに出してみる。また、一度食べなくても嫌いと決めつけず何度か出してみましょう。
味付けを変えてみる
味覚が発達すると同じ味に飽きたり、苦手な味が生まれることが考えられます。いつもと違う食材を使ったり、違う味付けにして様子をみましょう。
時間を決めて食事を切り上げる
食事の時間が長くなると食べこぼしや遊び食べにもつながるので、食事時間は20~30分程度と決め切り上げる目安を作りましょう。
食器を使いやすいものに
手先の発達が未熟なため、食べたいのに自分の口に運べないこともあるので、持ち手が工夫されたフォークやスプーン、食器などの準備をしておくと安心です。
幼児期
口腔機能や味覚、嗅覚は発達途中のため、食べやすさや固さに気を付けましょう。また、コミュニケーションを取れるようになると、すごい!食べられたねなどの声かけで食事を促すことも大切になってきます。
固さや食べやすさに配慮する
歯が生えてくるなど口腔機能が発達しますが、柔らかく煮込んだり小さめに切ったりと、調理方法を離乳食期同様工夫してください。
無理に食べさせない
どうしても口に合わないものもあるので無理強いして食事の楽しみを奪ってしまわないようにしましょう。また、好き嫌いはすぐに改善できるものではないので、何度か出してあげたり、調理方法や味付けを変えたりして様子をみてください。
おやつや甘いものを与えすぎない
自然な甘さのものや軽食(果物や調理パン、おにぎりなど)を用意するのがおすすめです。
食べられたことをたくさん褒める
苦手なものに挑戦できた時はすごい!かっこいい!良く頑張ったね!などと思い切り褒めてあげましょう。
好き嫌いの原因を聞く
自分の気持ちを伝えられるようになってきた子どもなら、好き嫌いの原因を率直に聞いて、原因がわかれば調理方法などで解決することがあるかもしれません。
楽しい会話をしながら食べる
おしゃべりが上手になってきたら、保育園や幼稚園であったこと、先生やお友達の話など、自由に会話を楽しみながらメリハリをつけて食事をしてみましょう。
好きなキャラクターを利用する
子どもの気分を盛り上げるために、お気に入りのキャラクターが付いたスプーンやエプロン、完食したらキャラクターが見える器などを使うと食事に興味を引きやすくなります。
お手伝いをしてもらう
お手伝いをしたいという気持ちも芽生えてくるため、食器を並べてもらったりレタスをちぎってもらうなど、簡単なお手伝いをしてもらうと食への興味も湧いてくるでしょう。
学童期
口腔機能がぐんと発達し、経験を積むことによって食べられる食品も増えてきます。
一方で、経験が固定化されることによって好き嫌いがはっきりしてきたり、こだわりの主張も見られるようになります。
規則正しい生活について考える
塾や習い事で忙しかったり、共働きによって間食が多くなりがちのため、濃い味付けに慣れてしまうと食が偏りやすくなるので注意が必要です。
栄養素について話をする
高学年になると授業のなかで食の栄養素についての勉強があります。さらに、家庭内でも食と栄養について会話をすることで子どもの意識を変えてみましょう。
料理や野菜作りに挑戦してみる
お気に入りのメニューを一緒に作ってみたり、苦手な野菜を切ってみるなど、簡単な調理に挑戦してみましょう。
また、家庭菜園などで栽培を楽しんでみると別の角度から食に興味を持ってもらえるかもしれません。
買い物に一緒に行って食材の話をする
一緒に買い物にいくことで、自分が食べているものがどういった食材なのか興味を持ちやすくなります。
まとめ
食事は子どもの身体を作っていく大事なものであり、毎日の生活に大きく関わることなので悩んでしまう保護者の方は多いです。
心配になる気持ちはわかりますが、大人になっても食を楽しむことができるように、まずは楽しい雰囲気を作って食事に関心を持たせることに注力してあげてください。
特に子どもの頃の偏食や好き嫌いは短期間で解決することは少なく、成長やちょっとしたきっかけで食べられるようになるケースが多いです。
子どもにとっても保護者にとってもストレスのかからない取り組み方を探ってみてくださいね。
また、食べものに強いこだわりを示したり、心身の発達に影響するほど偏食が見られる場合は早めに保健所や小児科医に相談しましょう。