NOMAD COFFEE
オーナー 久保 大輔 Daisuke Kubo
スタッフ 中山 諒 Ryo Nakayama
佐世保の街の中心部。長く続いたアーケードの景色に、ぽっかりと空や緑を見せてくれる島瀬公園。けして広くはないけれど、買い物にちょっぴり疲れた時の癒しの光景になったり、誰かとの待ち合わせ場所になったり、時にはイベントが行われたりと、佐世保市民にはおなじみの場所であって、なくてはならない存在です。
そんな島瀬公園奥にある「佐世保市博物館島瀬美術センター」には、みなさんどれくらい足をお運びでしょうか?もちろん、お目当ての展示がされている時に行かれたこともおありでしょうが、ここにはまるで公園の続きのような、お友達が待つ家のような、そんな不思議な場所があります。
美術館の片隅で
島瀬美術センターの入り口を入るとすぐ、右側からホワッといい香りが。一瞬で心が落ち着くようなコーヒーの香り。そこがノマドコーヒーです。
展示品を活かす少し無機質な美術館の片隅なのに、そこだけ明らかに異空間。レコードプレーヤーが中央にあって、温かみのある木材のカウンターや沢山のドライフラワー。なんなら壁に革ジャンがかけられています。
そう、ここはまるで誰かのおうち。アッという間に「遊びに来たよ」という感覚になるから不思議です。しかしここで、昔からこのノマドコーヒーをご存じの方は「あれ?雰囲気変わった?」と思われるかもしれませんね。それもそのはず、現在のオーナーはこの方。
オーナーは21歳
サイケなニットに黒いハットでそのセンスが伝わってくる久保大輔さん。みんなから「大ちゃん」と呼ばれるこの方は、なんと若干21歳なんです。以前のオーナーの元でコーヒーのhow-toを学び、この店を譲り受けてから約1年が経ちました。この店はすっかり大ちゃんカラーです。
ロック好きの大ちゃんのコレクションも並ぶレコード棚に
大ちゃんのX JAPAN好きを知っているお客さんからもらったというグッズも置かれています。そんな若い方と話が合うだろうか…って?? いえいえ。ご安心あれ。この日たまたま訪れてこられたのは
御年60オーバーのお客様。通称「せっちゃん」です。聞けば、街に用事があって出かけてきた際には、必ずと言っていいほどここに寄るそう。そう話しながらせっちゃんはおもむろにカバンを開いて
私の似顔絵を書き始めてくれました。このせっちゃんに絵を書いてもらった方は佐世保に沢山いっらっしゃいますよね。かくいう私も2度目です。もともと気さくな方とはいえ、オーナーの大ちゃんとは年の差40歳以上。若きオーナーについて尋ねてみると「対応能力がすごいよね」と答えてくださいました。そしてもちろん「コーヒーが美味しいよね」と。
「美味しい♪」はアベレージ
ノマドコーヒーの要はこの生豆。焙煎も店内で行われています。
私の取材に対応してくれながらも、この機械での焙煎に常に注意を払っていた大ちゃん。時間を図り、音を聞き、匂いで判断しながら、煎りの深さを調整していました。
お店こだわりのコーヒーは、豆の種類や焙煎の違いで7種類用意され、好みに合わせてブレンドしてくれます。この日の私のオーダーは「アメリカンタイプでスッキリ。だけど香りは楽しみたい」というものでした。すごくザックリです。そこからさらに、苦みや酸味の好みも聞いた上で、大ちゃんが選んでくれたのがこの3つ。
すべてプレミアムコーヒーで、私の好みの味になるようブレンドしてくれました。カウンター越しに見るその姿は、まるで実験室や研究室のよう。集中しているのが伝わってきます。
丁寧に丁寧にドリップしてくれ
カップへはビーカーで。時間をかけて出してくれたコーヒーは
柄入りのカップでもわかる澄んだ色をしていて、一口飲めばまさにオーダー通り。毎日これが飲みたい、だけど家では絶対できない、間違いなく私のためのコーヒーでした。喜ぶ私とは対照的に「お客さんに喜んでもらうのは、もはや最低条件。」と、大ちゃんは言います。
すべての行程をカウンター越しに見ていた私には、それが嫌味や傲慢などでは決してなく、妥協のできない研究熱心な職人の言葉として、ダイレクトに胸に届きました。
マジシャンも21歳
実は先ほど、絵を描いていた「せっちゃん」にコーヒーを入れたのはこの方、中山諒さん。通称「りょうくん」も、大ちゃんと同じ21歳です。さわやかなカフェ男子というイメージですが、このりょうくん、別の肩書があります。それは
「マジシャン」。高校2年生の時からハマり、そこからYouTubeなどでほぼ独学で学んだそう。この店でもトランプや輪っかを使ったマジックを見せてくれるんです。その腕前は、カウンターの目の前で見てもまったく分からないほど。お客さんからの要望があれば、いつでも楽しませてくれるんですよ。
1人で行っても1人じゃない
ここが心地が良いのは、お店の雰囲気のみならず、この2人が創り出す空気感と距離感。信念と個性をしっかり持った大ちゃんと、細かいところにもよく気が付くりょうくん。陰と陽、凸と凹、どちらもうまい具合に押したり引いたり混ざりあって、なんかちょうど良いんです。見てて気持ちがいい。
ロック好きの大ちゃんとアイドル好きのりょうくんですが、傍から見ていると、2人には共通点も沢山あります。
2人ともお客さんとの壁などなく、サラリと受け入れてくれる。スッと会話に入れてくれる。そんな優しさがあるんです。そして実は2人とも働き者。このお店だけでなく、夜もお仕事をしています。しかもそれを当たり前のように、楽しく話してくれる。若くして色んな世界を知っているからなのか、相手が年上でも、はたまた高校生でも、2人はなんなく受け入れてくれます。
初めてだろうが、1人だろうが、ここに来たらきっと大丈夫。あなたにピッタリの美味しいコーヒーとともに、まるで友達かのような2人が待っています。寂しいときも嬉しいときも、ここにあなたの居場所がちゃんとありますよ。
■NOMAD COFFEE | |
住所 | 〒857-0806佐世保市島瀬町6‐22(島瀬美術センター1F) |
電話番号 | 080-2728-9035 |
営業時間 | 10:00~18:00(17:30 LO) |
定休日 | 火曜日 |
メール | dahitorina@gmail.com |
インスタグラム | https://instagram.com/noma.dcoffee?utm_medium=copy_link |
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