畳は日本固有の文化。畳に寝転がり、い草の香りに癒されるひと時は日本人なら誰でも幸せを感じることでしょう。しかし、ライフスタイルの変化により、畳を和室をフローリングの洋室にリフォームする家庭が増えています。そこで気になるのが、畳からフローリングにリフォームする方法と費用。今回は、畳をフローリングにしようとお考えの皆さまのために、リフォームの種類と費用相場、注意点などをまとめてみました。
目次
畳からフローリングへのリフォームの種類や費用相場
畳からフローリングにリフォームするには、大きく分けて2つの手段があります。それは、畳を剥がして床材を張り替える「張り替え」と、畳の上に床材を敷く「重ね張り」です。前者は本格的なリフォームになり、後者は素人でも可能な手軽なものです。それぞれメリットとデメリットがあり、費用相場も違います。ひとつひとつ見てみましょう。
【張り替え】畳を剥がして張り替える
「張り替え」とは、畳を剥がし、床の下地を調整して新しいフローリングに張り替える方法。和室を洋室に変えるリフォームです。
6畳から8畳の和室をフローリングに張り替えた場合の相場は、一般的には20~40万円と言われています。床材には様々なグレードがあり、無垢の木材や高機能の床材を選ぶと更に高額になるでしょう。また、床の下地に問題がある場合は修復に10万円、時にはそれ以上かかります。床材に合わせて壁や建具もリフォームすることも多いので、その費用もプラスしておきましょう。
畳からフローリングに張り替えた場合、どのようなメリットとデメリットがあるでしょうか。
メリット
まず、仕上がりが綺麗。フローリング材には多くの選択肢があるので、好きなテイストや予算に合わせて選ぶことができます。そして段差をなくしてバリアフリーにすることができるので、歩きやすく安全性が高まります。掃除や手入れが楽で、ダニの発生を抑えることも大きなメリットです。
デメリット
畳からフローリングに張り替えた場合のデメリットは、時間や費用がかかること。リフォーム会社に依頼して現場調査をした後に工事日が決まるのですが、時には数カ月待たなければならない事もあります。費用も、床材だけでなく職人の人件費や畳の処分費などが積み上がり、高額になることもデメリットに挙げられるでしょう。
【重ね張り】畳の上から張る
「重ね張り」は、畳の上にフローリングを敷く方法。畳を剥がす必要が無いので、手軽に短時間でフローリングに変えることができます。
6畳から8畳の和室を重ね張りする場合、業者に頼むと6~12万円が相場と言われています。DIYでする場合はさらに安く、1~7万円ほど。クッションフロア材をカーペットの様に敷くだけで、簡単に洋室の雰囲気を出すことができますし、木製の床材を貼り付けていく方法もあります。
重ね張りのメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
重ね張りのメリットは、低価格と手軽さ。畳数に合わせたクッションシートやウッドカーペットを敷くだけで、あっという間に洋風の床に変化します。ホームセンターやオンラインストアで購入できる手軽さも魅力。取り外しも簡単なので、賃貸物件でも利用可能なのは大きなメリットとなるでしょう。
デメリット
重ね張りのデメリットは、埃や湿気が溜まりやすくダニやカビが発生してしまうこと。定期的にフローリング材を外して掃除する必要があります。また、畳よりも高さが出てしまうので段差ができたり、ドアの開閉が困難になることも。クッションシートはカラーバリエーションが豊富ですが、安っぽい印象になってしまうのもデメリットと言えるでしょう。
畳からフローリングへのリフォーム費用を抑えるには?
重ね張りは手軽ですが、やはり張り替えをして本格的にリフォームしたい。そうお考えの方も多いと思います。費用の相場はわかったけれど、なるべく低く抑えたいですよね。畳からフローリングへのリフォーム費用を抑える方法について、まとめてみました。
安価な床材を選ぶ
フローリングの材料は、大きく分けて2種類。天然の樹木を加工した「無垢フローリング」と、木材や合板の基材に薄くスライスした木や化粧材を貼り合わせて加工した「複合フローリング」です。
フローリング材は樹種によってグレードがありますし、木材の幅や機能によっても値段に開きが出てきます。風合いの良い無垢フローリングは高価になるので、費用を押さえたい場合は複合フローリングやウッドカーペット、クッションフロアなど安価な床材を選ぶと良いでしょう。
介護保険の活用
要介護認定を受けた家族がいる場合、介護保険で住宅改修工事が可能。住宅改修工事の中には畳からフローリングに張り替えるリフォームも含まれます。畳の部屋は車いすが入りにくかったり、畳の縁が段差になって歩きにくいため、フローリングにすることが推奨されています。限度額や適用条件など、ケアマネージャーに相談して下さい。
自治体への補助金申請
畳をフローリングにリフォームする場合、要件を満たせば国や地方自治体の補助金を受けられる場合があります。例えば、佐世保市では令和5年度に「子育て世帯等の中古住宅購入・改修費への補助事業」を実施しました。国土交通省も「住宅リフォームの支援制度」を各種設けています。どんな補助金が利用可能なのか情報収集し、賢く利用しましょう。
畳からフローリングにリフォームする際の注意点
せっかく畳からフローリングにしたのに失敗してしまい使いにくい部屋になってしまった・・・リフォームが失敗すると費用的にも心理的にもダメージが大きいものです。
リフォームを成功に導くためにはどうしたら良いでしょうか。畳からフローリングにリフォームする際、どのような点に注意すべきかポイントをまとめました。
業者選び
最近はインターネットのDIY動画が人気です。畳からフローリングにリフォームする方法の解説動画も流れているので、やってみようかと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし取り返しのつかない失敗もあるため、よほど慣れた人でない限り業者に頼む方が賢明です。
業者を選ぶ際は、複数の業者から見積を取ることをおススメします。口コミなどの評判を調べることも重要ですね。
特に無垢フローリングでリフォームする場合は、その施工に慣れていて実績のある業者を選ぶ必要があります。慣れない業者が無垢フローリング施工をすると、数年後に反ったり割れたりしてしまう恐れがあります。
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防音
厚みのある畳より、フローリングの方が防音性が落ちてしまいます。フローリングにリフォームしたことで足音がうるさくなることも。特に集合住宅の場合、階下に音が響かないよう、防音対策工事を行うか、防音性の高い床材を使ってリフォームしましょう。
床の滑り具合
犬などのペットがいる家庭では、フローリングの滑り具合に注意が必用です。滑る床はペットの足や腰を痛めてしまい、時に深刻な疾患を引き起こします。小さなお子さんやお年寄りも同様に、滑る床は危険。滑り止め加工の床材を使ったり、コルクマットや絨毯を敷くなど工夫が必要です。
湿気
畳は湿気の多い日本の気候に適した床材です。フローリングにリフォームすると調湿機能が大幅に低下し、窓や壁が結露してカビが発生しやすくなります。無垢フローリングよりも複合フローリングのほうが湿気に強い傾向はありますが、頻繁に換気するなど除湿を心がけるようにしてください。
冷え対策
空気の層が厚い畳に比べ、薄いフローリングは外気の影響を受けやすく、冬場は特に足元が冷えてしまいます。リフォームの際は床下に断熱材をしっかり入れ、冬場はカーペットや絨毯を敷いて冷え対策をしましょう。複合フローリングであれば、床下暖房を設置することができます。
まとめ
畳の部屋は日本の気候に適していますが、お手入れが必要なのも事実。また、畳の生活は足腰の弱いお年寄りには負担です。フローリングにすることで掃除もしやすく、家具も合わせやすくなりますね。
畳からフローリングにリフォームする方法には「張り替え」と「重ね張り」の2種類があることがわかりました。それぞれにメリットとデメリットがありましたね。リフォームが失敗とならないよう、あらかじめ注意点を押さえておくことが重要です。
予算の範囲でどんな仕上がりを求めているのか、持ち家なのか賃貸なのか、などによって適したリフォーム方法が違います。できるだけ費用を抑え、後悔の無いリフォームをしてくださいね。