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針尾送信所

針尾送信所・針尾無線塔へアクセス!国の重要文化財・日本遺産見学

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風光明媚な西海の地に突如現れる3本の巨大な柱。美しい自然と無機質な巨塔のアンバランスさが不思議で、そこだけまるで異世界のよう。朽ちることなく100年以上もこの地に建ち続けている針尾送信所・針尾無線塔は、技術的にも歴史的にも価値の高い建造物なのです。

今回は、国の重要文化財や日本遺産に指定されている針尾送信所・針尾無線塔について掘り下げてみましょう。また、異彩を放つその光景ゆえか、針尾送信所・針尾無線塔は数多くのドラマや映画、アニメなどに登場しています。その内容についてもご紹介しますね。

針尾送信所・針尾無線塔について

針尾送信所施設

巨大な3本の塔は、何のために、いつ建設されたのでしょうか。針尾送信所・針尾無線塔の特徴や歴史、使用された技術などについてまとめました。

特徴

佐世保市の針尾島に位置する針尾送信所・針尾無線塔は、長波の無線通信施設です。遠く離れた場所との軍事司令や通信に利用されました。遠隔地と通信するためには、高出力の電波と長大な無線アンテナが不可欠。現在残っている針尾無線塔はアンテナをできるだけ高い位置で支えるための支柱です。塔の頂上には重さ9トンの「かんざし」と呼ばれた三角形の器具がとりつけられていました。

針尾無線塔はコンクリート製で、高さは約135m、周囲は38mの大きさ。無線塔の底面積は畳74畳分(115㎡)あります。三本の塔は、300mの間隔をおいて正三角形に配置され、その中心に無線電信室があります。自立式電波塔として現存する塔のなかで、高さ・古さともに日本一を誇っています。

歴史

旧日本海軍が155万円(現在の価値で250億円)もの費用を投じて針尾送信所・針尾無線塔を建設したのは、大正11(1922)年のこと。完成までに4年の歳月が必要でした。

針尾送信所・針尾無線塔は、中国大陸や東南アジア、南太平洋などで活動する艦隊などとの通信に使用されました。真珠湾攻撃時の暗号「ニイタカヤマノボレ」の通信を行ったと言われていますが、諸説あり定かではありません。ミッドウェー海戦、ソロモン諸島上空での山本五十六・連合艦隊司令長官の戦死、九州沖での戦艦大和の沈没などに関わった事実があります。

戦争末期にはその役割を終え、食糧庫として使用されたことも。終戦後から1997年までは海上保安庁が管理。2013年に国重要文化財、2016年には日本遺産に指定されました。現在は「針尾無線塔保存会」が管理をしています。

技術

無線塔はやわらかいコンクリートでできているため「震度6弱の地震でも崩れない」という調査結果が出ています。当時の日本の技術力の高さが伺えますね。鉄筋を覆うコンクリートの厚さは、外側が88㎜、内側が95㎜。100年たった現在も、鉄筋の腐食や表面のひび割れは見られません。

無線塔建設の主任技師だったのは佐世保鎮守府建築科の吉田直(のぶる)氏。佐世保鎮守府は海水に耐えるコンクリートを開発しました。鉄筋が腐食しないように、コンクリートに混ぜる砂利は海砂を使わず、川から運んだ砂と玉砂利を使用。塩害を防ぐため、玉砂利をよく洗い、ひとつひとつ布で拭き上げたという話が伝わっています。また、コンクリートの余分な水分や空気を取り除くために手作業で押しつぶしたそうで、機械で作るよりもずっと緻密なものに仕上がっているのだそう。針尾送信所・針尾無線塔は当時の技術の粋を集め、佐世保鎮守府の威信をかけて建設されたのです。

【終了】針尾送信所保存調査特別公開

針尾無線塔の地下1
2023年9月9日と10日の2日間、針尾送信所の保存調査が特別に一般公開されました。一号無線塔の根元を地下6m掘削し、本来見ることができない基礎の部分を確認することが可能に。特別公開当日は多くの市民が訪れ、当時の日本の技術力がいかに高かったか、改めて確認することができました。

針尾無線塔の地下特別公開
調査の結果、基礎は鉄筋コンクリート製で、岩盤も基礎の一部として巨塔を支えていること、そして基礎と岩盤の間には厚さ15㎝のコンクリートが敷かれ、水平を保つ役割をしていること等が明らかとなりました。基礎部分の鉄筋には錆ひとつありませんでした

詳細はコチラをご確認ください。

針尾送信所施設見学

針尾無線塔の送信所外観
針尾送信所の施設は見学可能です。見学時間は9:00~12:00、13:00~16:00、ガイドなしの自由見学の場合、だいたい30分程度ですべてを回ることができるでしょう。通常は針尾無線保存会のガイドを申し込むことができますが、現在はコロナ感染症のために見合わせています。個人や少人数での見学は予約など必要ありませんが、20名以上の団体様は事前予約をお願いいたします。

詳細は針尾無線塔保存会(0956-58-2718)または佐世保市教育委員会文化財課(0956-24-1111)まで。施設見学の詳細はコチラをご覧ください

針尾送信所施設見学

針尾送信所見学する際の注意

針尾送信所は国の重要文化財です。立ち入り禁止場所へ入らず、落書きやゴミ投棄などしないこと。日本国民の大切な遺産を守るため、マナーを守って見学しましょう。

見学ルートには歩道が整備されていません。歩きやすい靴の着用をおススメします。また、特に夏季は虫よけスプレーや帽子、タオルなどをご持参ください。

駐車場には普通車30台・バス6台分のスペースがありますが、複数の車両で訪問する場合は乗り合わせてご利用ください。

針尾送信所へのアクセス

針尾送信所・針尾無線塔の所在地は「佐世保市針尾中町382-2」。車で行く場合、大塔ICから約15分の道のりです。国道202号線に進み西海橋に向かう途中、右手に看板があるので右折してください。

バスの場合、JR佐世保駅から西肥バス「西海橋コラソンホテル」「西海橋西口」行に乗車。約50分後に「高畑」で下車後、徒歩約15~20分で到着します。

針尾送信所が登場する作品

異彩を放つその光景ゆえに、数多くの作品に登場している針尾送信所。佐世保っ子には見慣れた風景ですが、ドラマやアニメなどに登場する針尾電波塔が実在することに驚く作品ファンも多いとか。針尾送信所はどんな作品に、どんな形で登場するのでしょうか。まとめてみました。

17才の帝国

NHKで2022年に放映され大きな話題となったドラマ「17歳の帝国」。青春SFエンターテイメントと政治ドラマが融合した、近未来のお話です。

この物語では針尾送信所・針尾無線塔が非常に重要な役割を担っています。3本の針尾電波塔はドラマのシンボル的存在である「政治AIソロン」に、針尾送信所の電信室は閣議室として描かれました。タイトルバックをはじめ、あらゆる場面で3本の電波塔が登場します。実験都市ウーアのロケ地も佐世保市が中心になっており、佐世保っ子にとっては目が離せないドラマとなりました。

実験映像「URVAN(ウルヴァン)」

佐世保の街並みがアニメーションと融合し、不思議なサイバーパンクの世界に変化する実験映像URVAN。長崎国際大学と東映アニメーションがコラボし作り上げた、約5分の実験映像です。

作品のなかでまず登場するのは長崎国際大学のキャンパス。そこで佐世保コマの形の光が生じて飛び散り、一番最初に到達するのが針尾電波塔です。電波塔の内部ではなにやら怪しい人物が登場し、幻想の世界を現実に戻すかのような役割をしています。

ブレイブウィッチーズ

ブレイブウィッチ―ズとは、美少女人気キャラクターたちが航空科学博物館や航空自衛隊などの秘密基地で戦う人気アニメ。第1話「佐世保の魔法少女?」とあるように、主人公・雁淵ひかりは「扶桑国佐世保航空予備学校」に通っています。

針尾送信所・針尾無線塔は、雁淵ひかりのお父さんの職場「扶桑皇国海軍針尾送信所」として登場。ひかりはお父さんにお弁当を届けるため走って針尾送信所に向かうのですが、そのせいでお弁当の中身が片方に寄る「寄り弁」となってしまいます。聖地巡礼で、針尾送信所でお弁当を食べるファンもいらっしゃるようです。

暗号のポラリス

暗号のポラリスは、難読症を抱える小6の少年ユノの物語。亡くなった両親と縁のあった地を目指して西へ向かうという、少年が成長していく姿が描かれた小説です。

本の表紙には3本の塔が描かれているのですが、佐世保っ子が見たら針尾無線塔だな、とすぐにわかってしまうでしょう。物語のなかでは「H島の無線塔」と呼ばれています。無線塔は物語の中で、お父さんと少年を結ぶ大きな役割を担っているのです。

空の大怪獣ラドン

1956年公開の日本映画「空の大怪獣ラドン」。阿蘇山で生まれた怪獣ラドンと人類が戦う物語です。映画ゴジラを大ヒットさせた東宝が、特撮監督円谷英二氏と共に手掛けた作品です。怪獣ものとしては日本初の総天然色作品となりました。

針尾無線塔が登場するのは、大怪獣ラドンが佐世保に飛来した時。ラドンは自衛隊機の攻撃をかわし西海橋をくぐり抜けて逃亡。しかし空中戦の末、針尾無線塔をバックに海に沈みました。

まとめ

針尾無線塔1号塔大正時代に建てられた電波塔としては日本一高く日本一古い針尾無線塔。穏やかで美しい西海の自然の中にそびえ立つ3本の巨塔はインパクト大で、見る者のイマジネーションを掻き立てます。不思議なたたずまいの針尾送信所・針尾無線塔が、多くの作品に登場するのも頷けますね。

針尾送信所・針尾無線塔は100年以上この地に建ち続け、今や平和のシンボルとして佐世保で愛されています。実際に目にすると、その巨大さに圧倒され、いまだに錆ひとつ生じさせていない技術力に畏敬の念を抱いてしまうでしょう。

一時は「危険なので壊した方が良いのでは」という流れになり、無線塔がなくなってしまうのかと多くの佐世保市民が心配しました。しかし調査の結果、問題がないどころか耐震構造でもあることが判明し、取り壊しが回避されたことに胸をなでおろしたものです。これからも佐世保や西海のランドマークのひとつとして、針尾送信所・針尾無線塔を守り続けていきましょう。

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「住まいリングさせぼ」編集部長

橋本鎌嗣(ニックネーム:もっちゃん)
「住まいリングさせぼ」編集部長

佐世保生まれ、一児のパパ。サイト監修者であり、佐世保・小値賀「海風の国」観光マイスター。宅地建物取引士の資格も有し、不動産や住まい、暮らしのアドバイスも。「佐世保に住もうよ!愛する地元の魅力をもっと伝えたい!!」

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