住まいリング させぼ

佐世保・大宮市場バス停前の谷口総菜店

午前中に売切れる物も。笑顔と会話のたえない手作り惣菜屋さん【佐世保の台所・大宮バス停前】

谷口そうざい店
佐世保市稲荷町14-4(大宮市場下バス停目の前) google mapで見る

0956-32-1884

日曜休

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大宮バス停前にある『谷口そうざい店』は…

23歳から47年間、お惣菜を作り続けている谷口敬二さん(70歳)のお店です。ショーケースにぎっしり並ぶ手作りのお惣菜は、日々40品。毎朝3時過ぎから、谷口さんがひとりで作っています。

元々この「谷口そうざい店」は、敬二さんのご両親が始められたお店。敬二さんは一度佐世保を離れ、関東に出られていましたが、親御さんが体調を崩されたことを機に帰郷。
以来、一度も病気などで休むことなくお店に立たれているんです。以前は大宮商店街にあって長年地元の方に愛されてきたこともあり、この場所に移動して10年経った今でも、その頃からのお客さんや、当時は子どもだった方がお母さんとなって、このお店を訪れているそう。この日も、ほぼ開店と同時に次々とお客さんがやってきたのですが、驚くのはお客さんと谷口さんの関係性。

「病院の帰りね?」「お子さんは元気しとる?」「あのゴルフはすごかったですね」

まるで長年の友達のように、それぞれの会話が広がっていくのです。買っていかれる好みも把握されている谷口さんは、お客さんとの対話を楽しみながらも、手際よくお惣菜を詰めていきます。例えば、グラム売りのポテトサラダも、必要なグラム数を聞くことなく詰めていく…という具合です。

「信頼関係たいね」と、あるお客さんは教えてくださいました。

「ここに来ると、他の人には言えなかった余計なことまで話してしまう」と笑う女性もいらっしゃいました。

「子どもの頃からここの味が好きで、今では高校生の息子が好きなんです」と教えてくださった方は、お子さんと入学の報告にも来られたそうです。

入れ替わり立ち代りお客さんが訪れることで、どんどん消えていくお惣菜たち。それぞれに好みはありますが、一番人気は1個40円の『ミートボール』。

手作りならではの愛嬌のある形をしたミートボールは、合いびき肉を使用。フワッとした口当たりで、甘くコクのあるたれが後を引きます。ちょうど「運動会の時には100個の注文をした」というお客様も来られましたが、パクパク食べたくなるのもうなづける、老若男女が大好きな美味しさです。
100個の注文にも驚きますが、このミートボール、過去には東京やアメリカまで送られているんだとか。「あの懐かしい味を食べたい」と、故郷・佐世保を離れた御家族からの依頼で、航空便で度々発送されたそうです。何でも揃いそうな都会に行かれても、この味はこの店にしかないということでしょう。

ほかにも、休みの日に大村のお豆腐屋さんまで取りに行くというおからを使った100g120円の『卯の花』

魚のすり身に野菜を加えて揚げてあり、もちもちとした食感でほんのり甘く、おやつにもおかずにもなる、1枚45円の『ミンチ』

など、何度も言いますが、これら全てが谷口さんが毎朝ひとりで作られているものなんです。ちなみにお惣菜が乗った『香蘭社』や『源右衛門』など、高級な有田焼の大皿はお客さんからいただいた物だそう。それだけでも、お客さんとの関係性が伝わってきますよね。

対面販売が減っている昨今。初めて来られる方は買い方に戸惑うそうですが、そこは谷口さんに頼って大丈夫。100グラムがどれくらいか教えてくれたり、予算と好みを伝えると、おススメを詰めたパックを作ってくれたりしますよ。

この日私に持たせてくれた詰め合わせは、前日から皮を削って昆布で巻いていたごぼうが入った『昆布巻き』や、「下ごしらえが大変だけど、お客さんが喜んでくれるから」とおっしゃっていた、開いた海老の『エビフライ』、小佐々産のものを甘辛く炊いた『いりこ』、もちろん人気のミートボールとミンチも入れていただきました。
手作り料理の不思議さのひとつに、毎日食べても飽きがこないということがありますが、この詰め合わせの一品一品にそれが感じられ、久しく食べていない母親が作ってくれたお弁当を思い出しました。

ついつい心を開いてしまう谷口さんの笑顔

お客さんがひとり購入しているときは、外で次のお客さんが待つような小さなスペースでありながら、たくさんの人の人生ドラマを見てきた谷口そうざい店。

どこにもない40品の手作り惣菜と、ついつい心を開いてしまう谷口さんの笑顔。そして「その日の気候や感覚で味付けしているから、お客さんから『今日は辛かったね』と怒られることもある」と笑って話すその人柄に、今日も多くの人が惹きつけられてやって来ます。

スーパーやコンビニなど、いつでも手軽に買えるお惣菜が増え、便利になる一方で、全て手作りの「惣菜店」そのものが、ここ佐世保でも貴重な存在になりつつあります。谷口さんにはぜひ、お身体に気を付けながら、少しでも長くこのお店を守っていただきたいと心から願っています。

初めて行ってもきっと、優しい谷口さんの笑顔があなたを出迎えてくれますよ。

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「住まいリングさせぼ」編集部長

橋本鎌嗣(ニックネーム:もっちゃん)
「住まいリングさせぼ」編集部長

佐世保生まれ、一児のパパ。サイト監修者であり、佐世保・小値賀「海風の国」観光マイスター。宅地建物取引士の資格も有し、不動産や住まい、暮らしのアドバイスも。「佐世保に住もうよ!愛する地元の魅力をもっと伝えたい!!」

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