住まいリング させぼ

介護リフォーム(手すりやトイレ等)で利⽤できる補助⾦も紹介

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家族に要介護者が出てしまった場合や将来を考えたとき、自宅環境の安全面を高めてくれる介護リフォームがあります。

現在自宅介護を行っている方はもちろん、今は必要性を感じていないという方も、今回の記事を参考に今一度ご自宅の環境について見直してみましょう。

介護リフォームとは︖

介護リフォームとは、介護される人がこれまで暮らしてきた自宅に安心して住み続けられるよう、安全に配慮した環境を整えるバリアフリー化工事のことをいいます。
2013年に独立行政法人国民生活センターが発表したデータによると、65歳以上の高齢者の事故が発生した場所の約77%が住宅で起こったものでした。

また、東京消防庁の「救急搬送データからみる高齢者の事故」では、家庭内事故の9割以上が転倒・転落によるものだと明らかにされています。

日本人の3人に1人が高齢者といわれるこの時代、家庭内の安全確保は誰しもが直面する問題といっても過言ではないのです。

介護リフォームの目的は大きく3つに分けられます。

被介護者が暮らしやすい環境を整える

介護リフォームの1番の目的は、高齢者や要介護者が安全に生活でき、かつできるだけ自分の力で行動できるようにすることにあります。

例えば、一人でも移動できるように手すりやスロープを設置したり、怪我をしないように床を滑りにくくしたり、トイレを和式から洋式に置き換える、浴槽の高さを低くするなどが挙げられます。

自分でできることが減ると体力や気力が一気に衰えてしまうので、被介護者が無理なく安全に生活できる環境を整えることが大切です。

介護者の負担を軽減する

介護リフォームには被介護者の暮らしやすさだけでなく、介護者の負担を軽減するという目的も含まれています。

自宅介護では、要介護者の介護度が高いほど介護者に重い負担がかかってしまうものです。

要介護者の行動負担が減るということは、介護者の負担も同じように軽減できるという介護者の身体的・精神的な負担を軽減させる役割も持っています。

将来に備えた住宅環境をつくる

3つ目は、介護リフォームが持つ“将来に備える”という目的です。

現在の暮らしに不便を感じなくても、親や自分に介護が必要になる未来いつの日かはおとずれます。また、高齢の家族や同居している要介護者の要介護度が上がる可能性も考えられます。

高齢になってからや介護が必要になってからでは何かと大変なので、そうなる前に介護リフォームを検討することが必要です。

一般的にリフォームは何回にも分けるよりまとめて依頼した方が安くすむので、費用面からみても将来を見据えて計画を立てるほうがよいでしょう。

ただし、とりあえず手すりを付けておこうなどといったその場しのぎのリフォームは、後々生活の邪魔になったり、実際には役に立たないケースも多いので注意が必要です。

介護リフォームを検討するタイミングは?

実際に介護リフォームををいつ検討すればよいのか迷う人もいるでしょう。

個人の事情があるとは思いますが、介護リフォームを検討する具体的なタイミングの例は2つ挙げられます。

実際に介護や介助が必要になったとき

多くの人が介護リフォームを検討を検討するタイミングは、家族に介護・介助が必要になったときでしょう。

突然の病気や怪我など、病院から退院して自宅で生活を送ることになったら危険な場所のリフォームを自ずと検討しなくてはいけません。

不運に見舞われたときこそ、介護が必要になった家族、そしてそれを支える介護者のためにも安全・安心に住める住宅環境を整えてみてください。

将来の備えとしてリフォームが必要だと感じたとき

家の環境を改善したいと感じたら将来の備えとして介護リフォームを検討してみると良いです。

リフォームによっては多額の費用や一時的な引っ越しが必要な場合もあるため、いざ介護が必要になったときにリフォームを検討するのは大きな負担がかかります。

家族の高齢化やライフスタイルを見越して、元気なうちからバリアフリーな環境を整えておくとよいでしょう。

介護リフォーム補助金の対象と金額

介護リフォームの費用を抑える制度介護保険というものがあります。

介護保険とは、40歳からの加入が義務付けられている保険制度で、要介護・要支援認定を受けた場合にその介護費用を一部負担してもらえるというものです。

毎月介護サービスなどの利用で介護保険を使っているという方でもご安心ください。

介護リフォーム工事に対しての補助金は介護保険制度のなかで「住宅改修費」として別途位置付けられているため、他の介護保険サービスの支給限度額には含まれません。

限度額は介護認定度によって決められているわけではないので、要支援認定であっても要介護認定であっても同様にリフォームを行うことができます。

住宅改修費の支給を受ける条件

住宅改修費の支給を受けるための条件は以下の通りです。

・住宅改修を行う要介護認定で要支援・要介護の認定を受けている
・改修を行う住宅に利用者が居住しているか
・利用者が福祉施設に入居中、病院に入院中などで自宅を離れていない
・利用者が以前に上限額までの住宅改修費の支給を受けていない

住宅改修費の限度額

住宅改修費の支給限度額は、被保険者1人につき改修費用20万円までと決められています。

支給限度額20万円のうち、収入に応じて1~3割が自己負担となるため、最大で18万円が補助されるということになります。

原則として、補助金の給付は被保険者1人につき1回ですが、支給限度基準額の20万円数回に分割して利用することも可能です。

例えば、
1回目:玄関に手すりをつけて5万円
2回目:トイレのドアを引き戸にして15万円
など、1回のリフォームで20万円を使い切らなかった場合、次に行う他の工事で残りの金額を使うことができるのです。

また、住み替えを行った場合や要介護状態区分が3段階以上上がった場合には、再度20万円の支給を受けることができます。

介護保険申請から完了までの流れ

介護保険を利用して介護リフォームを行う場合には、以下の1~7の適切な手順を踏まなければなりません。

リフォームを終えてから申請を出しても介護保険は適用されないので、事前に流れを確認したうえでリフォームの手続きを開始するようにしましょう。

ここからは介護保険の申請から完了の流れについて細かく説明していきます。

1.ケアプランの作成

介護リフォームを検討しはじめたら、まずは福祉専門のスタッフであるケアマネジャーに相談してみましょう。

なぜケアマネジャーを通す必要があるかというと、介護保険の申請を行う場合にはケアマネジャーが作成する「理由書」という書類が必要になってくるからです。

生活するうえで何に困っているのか、どんな場所にどんなリフォームが必要なのか、ケアマネジャーと一緒にリフォームのケアプランを作成していきます。

担当のケアマネージャーがいる場合はその方に、いない場合は各自治体の高齢者支援課への相談で問題ありません。

また、リフォーム会社によっては介護保険の申請を合わせて行ってくれる場合もあるようなので確認してみるとよいでしょう。

2.住宅改修費の事前申請

ケアプランが定まったら、各自治体・市町村の担当窓口に住宅改修費の申請を行います。

事前申請の必要書類
・介護保険給付費申請書
・住宅改修を必要とする理由書
・見積書
・見積額内訳書
・工事施工前の状態がわかる写真
・完成予定のイメージがわかるもの
・住宅改修に関する承諾書(賃貸物件の場合のみ)

必要書類は自治体によって変わってくるのであらかじめ個人で問い合わせしておきましょう。

3.介護リフォーム工事の依頼

ケアマネプランが完成して事前申請を終えたら、リフォームの設計や工事を行ってくれ業者を探します。

介護リフォームの実績があったり、介護リフォームを得意としている業者を選ぶと心強いです。

4.家屋調査の立会い

リフォーム工事を行う前には家屋調査が行われます。
調査に立ち会うことで、リフォーム内容の確認を行ったり希望を伝えることができるでしょう。

5.介護リフォームのプラン検討

家屋調査が終わったら、現存する家にどこまで改修を行えるのか、どのようなリフォームを行いたいか、業者と介護リフォームのプランを立てていきます。

改善したい点や生活動線など、事前に希望する内容を家族でまとめておくと良いです。

6.費用の確認・契約・工事開始

リフォーム内容が固まったら費用の確認を行います。
リフォームは高額になることも多いので、例え少しの改修だったとしてもしっかりと事前確認を行っておきましょう。

見積費用を確認したら、実際に契約を結んで工事が開始されます。

7.助成金の申請還付

工事が完了したらその旨を各自治体へ報告します。

その際、工事費の内訳書や所有者の承諾書、リフォーム前後の状態がわかる資料など、自治体が指定している必要書類の提出が必要です。

それらが無事に受理されると助成金が還付されます。

各市区町村ごとに設定される助成金

また、要支援・要介護度区分に含まれる場合はもちろんですが、その他の場合でも住み慣れた自宅で暮らすための介護リフォームであれば住宅改修費の支給を受けられる制度があります。

それが、各市区町村ごとに設定されている助成金です。

例えば佐世保市の場合、以下の補助金などがあります。

安全・安心住まいづくり支援事業補助金

地震による建物倒壊を防止し、市民の生命・財産を守るため、耐震診断費用の一部と、診断により「危険」と判断された住宅の耐震改修計画策定と耐震改修工事費の一部を助成。
・耐震診断:2/3(上限41,000円)
・耐震改修計画策定及び耐震改修:4/5(上限67万円)

民間建築物吹付けアスベスト改修支援事業補助金

吹付けアスベストの飛散による市民の健康被害を守るため、建築物の所有者に対し、アスベストの成分調査費用及び除去等工事費用を助成。
・成分調査費の10/10(上限25万円)
・除去等工事費の2/3(上限1,100万円)

がけ地近接危険住宅移転補助金

がけの倒壊による危険から住民の生命を保護するため、危険地域外に 住 宅の移転等をする場合に要する資金に対する補助金を交付。
・除去費等:1戸当たり上限95.7万円(年度によって変動)
・建物助成費:1戸当たり上限421万円※建物325万円、土地96万円(年度によって変動)

老朽危険空き家除却費補助金

安全・安心な住環境づくりを促進するため、老朽化し、危険な空き家住宅の除却を行う者に対し、除却工事費用の一部を助成。
・補助対象建築物の除却工事費に8/10を乗じて得た額とし、国土交通大臣が定める標準建設費のうちの除却工事費を上限とする

老朽危険空き建築物除却費補助金

安全・安心な住環境づくりを促進するため、老朽化又は自然災害等により、第三者に対し影響を与える恐れのある危険な空き建築物の除却を行う者に対し、除去工事費用の一部を助成。
・補助対象建築物の除却工事費を補助対象経費(税別)とし、国土交通大臣が定める標準建設費のうちの除却工事費を上限とする
参照:佐世保市公式HP

手すりの設置/介護リフォームの例

手すりの設置は簡易的なリフォームで済むことが多いのでおすすめです。

手すりは転倒防止・立ちすわりの補助といった観点から、介護生活のなかでなくてはならない手助けとなります。

設置場所の例としては、階段や玄関、トイレ、脱衣所といった立ち座りを行う場所がおすすめです。その他にも転落しそうな段差がある場所や動きの補助となりそうな場所に設置してみましょう。

設置する際のポイントとしては、利用する方の身体的特徴に合わせた高さ・向き・形状などを想定することがあげられます。

トイレの交換/介護リフォームの例

1日に何回も行き来するトイレもリフォーム例として多くあげられます。

リフォームの例としては以下の通りです。
立ち座りを補助する手すりの設置
介助する人が入れるスペースの拡張
動作に負担の少ない洋式トイレへ交換
ヒートショック防止のための冷え対策

トイレは一般的に1人分のみのスペースで構成されていることが多いので、1人で行けなくなる場合も想定したリフォームを行うと良いでしょう。

ドアの取替え/介護リフォームの例

筋力の低下や手先が不自由になっている場合は、自宅内の扉やドアのリフォームが必要になることもあります。

リフォーム例としては、利用する方が自身で開閉できるように力の入りやすい引き戸・開き戸に変更したり、アコーディオンカーテンを取り入れるなどがあげられます。

段差の解消/介護リフォームの例

自宅での事故が多い転倒は、家のなかにあるちょっとした段差が原因で起こることが多いです。

特に認知能力や運動能力が下がった高齢者は少しの段差でもつまづいてしまうこともあります。

段差解消のリフォーム例としては、スロープの設置や床のかさ上げなど。転倒は大きな怪我や後遺症、介護レベルを上げることにつながる可能性もあるので、普段は気にならない段差もリフォームの対象として検討してみましょう。

滑り防止/介護リフォームの例

段差と同じく、床の滑りやすさは転倒事故につながるのでリフォームを検討する必要があります。

リフォーム例としては、床材を滑りにくいものに変更したり、クッションフロアの貼り付けがあげられます。

近年では床材・クッションフロアの種類が増え、デザインが選べたり滑り止め機能が付いたものもあるので、業者に問い合わせてみるとよいでしょう。

介護リフォームを行う時の注意点

利用者・家の状態・介護者側などを想定しそれに合ったリフォームを実施してください。
どこをどのように改修するかは個々で異なります。
例の多いリフォームだから、業者におすすめされたものだからといって自分たちの状況に合っているかどうかはわかりません。

リフォームを検討する際には、家の管理者や被介護者、業者、ケアマネージャーとしっかり相談を重ねたうえで工程を進めていきましょう。

現状のチェック

段差の有無
床のすべりやすさ
扉の開き方(引き戸が良い)
手すりの有無
空間の幅
トイレが洋式であるか
緊急時用の通報装置があるか

などを基準にすると良いです。

正しく業者選びをすることも大切

一般的なリフォーム業者や工務店でも介護リフォームは行えますが、介護やバリアフリーの知識・経験が少ない業者に依頼すると見通しが甘く失敗するケースも少なくありません。そのため介護に関する知識を持つ、介護リフォームを多く取り扱っている業者を選ぶと良いでしょう。

「福祉施設のリフォーム経験」「福祉住環境コーディネーターなどの有資格者の在籍」などを条件に入れると比較的安心できる業者に巡りあえます。

補助金をきちんと受け取れるように手続きを進める

自治体によっては手続きの方法が違うこともあるので確認が必要です。
まずはケアマネージャーなど専門知識のある人へ相談してみましょう。

家族が安心して暮らせる環境をリフォームで叶えよう

家をバリアフリー化し、家族が安心・安全に暮らせる環境をつくる「介護リフォーム」はいかがでしたか?

介護リフォームは、介護が必要な家族がいる方はもちろん、現状では必要性を感じていない方にもおすすめです。

家族の未来のために、記事内で紹介したことも参考にしながらぜひ介護リフォームについて話合ってみてくだいね。

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「住まいリングさせぼ」編集部長

橋本鎌嗣(ニックネーム:もっちゃん)
「住まいリングさせぼ」編集部長

佐世保生まれ、一児のパパ。サイト監修者であり、佐世保・小値賀「海風の国」観光マイスター。宅地建物取引士の資格も有し、不動産や住まい、暮らしのアドバイスも。「佐世保に住もうよ!愛する地元の魅力をもっと伝えたい!!」

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