住まいのことはMr.アーキに聞け!~建物のバランス

 

 

【Mr.アーキ】
木造住宅を計画する上で、私をはじめとして、うちのスタッフは建物のバランスを非常に大切にしています。
建物のバランスといっても、色々なバランスがありますが、私はデザイン面のバランスを取るのが得意で、いろいろと細かく設計担当にリクエストします。

部材の大きさ、設置する高さ、色、材質、照明器具の配置からデザインまで、ディテールに至るまでかなり細かく注文するので、設計スタッフからは嫌がられていますけど…。

私は見た目のバランスをとても気にするんですが、実はもっと大切なバランスがあります。

 

【Qoo】
もっと大切なバランスって何ですか?

 

【Mr.アーキ】
それは建物の物理的なバランスです。

設計者は設計時に「剛心」「重心」を確認しながら作業を進めていきます。
それぞれを説明すると、かなり難しいので今回は割愛しますが、「剛心」は建物の強さの中心、「重心」は建物の重さの中心と考えてください。

筋交や剛床の配置によって「剛心」「重心」それぞれを建物の中心に近くなるように設計していきます。

 

【Qoo】
「剛心」「重心」って、建物の耐震性や強度にとって大切なんですね。

 

【Mr.アーキ】
先日、ある完成物件のメンテナンスに立ち会う機会がありました。サッシの調整やコンクリート土間のひび割れについて相談を受けたので、その物件を見に行きました。

 

【Qoo】
前回は壁のひび割れ・クラックについてのお話でしたが、土間のクラックですか。

 

【Mr.アーキ】
その物件の特徴は、一階がほぼ大きな1間で、床は土間です。二階が生活の場で、LDKも水回りも居室も二階です。

見た瞬間に、一階のサッシの不具合が多いのでは?と思い訊ねてみると、正にその通りの答えでした。土間のひびも、建物の中心の柱付近だろうと予想して見てみると、やはりそこにひびが入っていました。

そのひびは幸い表面上のものだったので、簡単な補修で済みましたが、入居者からするとやはり不安は残りますよね。

 

【Qoo】
ひび割れが表面上のものかどうか、調べてもらわないと不安ですし、住み続けていくうちに、深くなったり大きくなったらどうしようとか思っちゃいます。

 

【Mr.アーキ】
その家を建てた会社の方に聞いてみると、設計については、お客様からの要望が多く、かなりの回数、プランを書き換え、たくさんの要望を取り入れた結果、この間取りプランに落ち着いたとの事でした。

完成後は、様々な不具合が発生して、何度も何度もサッシや玄関ドア、サイディングの隙間埋めをしているようです。

「剛心」「重心」について考えてみれば、こういったことが起こるのは当然です、
二階建ての建物の一階に壁が少なく、二階に部屋が多い場合は、当然壁も多くなりますから、一口で言うと“頭でっかち”というイメージです。

 

人間に例えると下半身が弱いので、建物が微妙に歪み、サッシやドア(建具)などの建付けが悪くなりやすく、頻繁に調整が必要になる、ということです。
コンクリート土間に柱が直接固定されていると、そこからヒビが入りやすいということもあり得ます。

今回のような建物の物理的なバランスが取れない間取りになってしまう場合は、施主様へ事前の説明をしておく必要を改めて感じました。

 

【Qoo】
バランスが悪いと、耐震性にも影響しますよね?建物が完成してしまってからじゃ、補強するのも大変ですよね。

 

【Mr.アーキ】
当然、この建物の耐震等級は1から良くて2程度でしょう。設計士は、お客様の要望をできるだけ取り入れるだけなく、お客様が建物、自分の家について勉強するチャンスを与えるべきでしたね。

今から、いや今、住宅を計画中の方、間取りの希望も良いですが、プロの意見も素直に受け入れて、賢い家づくりをしましょう。