住まいのことはMr.アーキに聞け!~遮音について

【Mr.アーキ】
最近、マンションの大規模なリフォーム工事を完成させたんですよ。

【Qoo】
どんなリフォームだったんですか?

【Mr.アーキ】
間取りの変更とキッチンの移設、ユニットバスの交換に、床材の全面貼り替えをしました。また、外壁沿いの床と、壁の取り合い付近のカビも気になったので、床下の外壁沿いに断熱の補強も行いました。

【Qoo】
かなり大掛かりなリフォームだったんですね。

【Mr.アーキ】
そうなんです。そして床の解体の時、とても稀な施工をしてあることが分かりました。

【Qoo】
稀な施工?どんなものですか?

【Mr.アーキ】
マンションの床には、下の階に足音や生活音が響きにくいように、遮音等級の設定がされているんです。通常、床材の下地になる厚さ2cmほどのパーチクルボードというものを、ゴムが付いた脚(金具)を使って、コンクリート面から10㎝~12㎝ほど浮かせて設置しています。その金具とコンクリートが接する箇所のゴムが遮音の機能を持っているわけです。そしてその金具は、メーカーが遮音等級でLL-45などの遮音性能を保証するようになっています。

【Qoo】
そうなんですか。集合住宅では、上の階の足音なんかの生活音が気になりますもんね。

【Mr.アーキ】
上階の床からの衝撃音には、子どもが飛び跳ねたりするドンドンやドスンドスンといった音を“重量衝撃音”といって「LH」で表します。また、スプーンのような硬くて軽いものを落とした時の音を“軽量衝撃音”といい「LL」で表します。通常は、LLとLHの区別なく遮音性能をL-40~L-60で表すことが多いですね。
今回の物件では、ゴム付きの金具はありましたが、床材と床下地のパーチクルボードに遮音シートが施されていました。その厚さは9㎜でした。そこで、床材を剥ぎ、床下の断熱材を施工するために遮音シートとパーチクルボードを部分的に解体しました。
問題はその遮音シートの解体です。既存の遮音性能を復旧しなければなりませんから、解体の際に遮音シートをきれいにカットし、元の位置が分かるよう、丁寧に解体していきました。
遮音シートにおいては、新築時の仕様書には記載がなく、現物にも製品名の記載がなかったので、同じものの購入が出来ないこともあり、とても慎重な作業となりました。

【Qoo】
元通りに復旧しなければいけないとなると、神経をつかいますね。

【Mr.アーキ】
この作業、かなり重要なんです。もし、遮音シートの復旧が不可能な場合、遮音シート分の厚さの9㎜を補うことはベニヤなどで出来るのですが、遮音性能が落ちてしまうと、大変なことになります。
仮に、下階に住む方が、「足音がうるさい」「小物を落とした音が響く」などと言ってきた場合に、新築時と同じ性能でないことが分かると、同等の遮音性能まで引き上げるという、全面的な復旧をしなければならなくなります。

【Qoo】
集合住宅の場合、床材の張替えの際には遮音のことも考えておかなくちゃいけないんですね。

【Mr.アーキ】
新築時の仕様書などに明記されてある場合は良いのですが、実際は、仕様書や図面と異なる場合がありますので、リフォーム工事を依頼される場合、仕様の違いがあった時には、施工店に報告をお願いしていたほうが良いかと思います。
もちろん、こういった場合は施工店の見落としではないので、施主さんが費用の負担をすることになりますが、「そんなこと聞いてなかった」「報告するようには言われてなかった」といったように、後々問題になりそうなことは、できるだけ避けた方が良いと思います。
マンションなどの集合住宅において、音の問題は特に慎重に!