住まいのことはMr.アーキに聞け! ~施主のお話

【Mrアーキ】
これまで建築に関わるさまざまなお話をさせていただきました。

【Qoo】
地鎮祭や上棟式といったテーマでは、建築に関わる歴史的なことも教えていただきました。

【Mrアーキ】
そうですね。建築=家を建てる ということは、歴史や伝統、文化を知る、ということにもつながるんですね。今回も、「家を建てる」という一大プロジェクトの中で、一番大切なことについてお話しをしたいと思います。

【Qoo】
一番大切なこと?…それは何でしょうか?

【Mrアーキ】
皆さんが家を建てる時、建設会社の方や職人さんから「お施主さん」とか「建築主さん」と呼ばれるようになります。「お施主さん」が一般的な呼び方です。
この「施主」とは、もともと仏教で“布施をなす人”という意味で、僧侶に供養する人のことを指していました。つまり“施す(ほどこす)人”です。現在では、法事・法要などを執り行う主催者である当主も施主と呼びます。

【Qoo】
もともとは仏教用語なのに、建築の世界でも「施主」と言うようになったのは、どうしてなんですかねぇ?

 

 

 

 

 

 

【Mrアーキ】
現代では、住宅を建設したり購入する人は多く、一般的な事になりましたが、昔は、家を建てることができる人というのはかなり裕福な人でした。江戸期の都市部などでは、ほとんど多くの人が借家暮らしでしたからね。
家を建てる際には、家を建てる本人が、材木などの資材を自分で仕入れ、工事を担当してくれる大工や職人さん、作業を手伝ってくれた人に、その内容や仕事に応じて日当や手間賃を直接支払うというシステムでした。
現在は建設会社や住宅会社に一括して、請け負い金として支払いますから、職人さんの手配や段取りなどはしなくて済むため、建築主は日常の暮らしや、自分本来の仕事に専念できるわけです。

【Qoo】
発注する人が、自分で手配して、報酬を払っていたんですか?

【Mrアーキ】
そうです、まさに発注者が職人さんにお金を直接与えていたことが「施主」(施す人)と呼ばれるようになったルーツなんです。
以前、田舎の古民家に住んでいたことがありまして、近くの老人の方々から聞いた話ですが、その地域では家を建てる時、棟上げや土壁の下地作り(最初に荒く壁に泥を塗る作業)の際には、近所の人が総出で手伝いに行ったそうです。そしてその際、お昼やおやつをお施主さんが振舞っていたそうです。
また、30年ほど前になりますが、昔ながらの棟梁の現場に行ったことがあって、その現場でも10時、3時のお茶とお菓子、昼食はお施主様が毎日振舞っていました。

【Qoo】
お昼ごはんからおやつまで準備するのは大変そうですね。
大きな家になるほど職人さんの人数も多いでしょうし…

【Mrアーキ】
ですから「施主」は、家が建ち上がるまでに係わる人全ての面倒をみることができる財力を持ち合わせていることと、それを采配することができる、それなりの人物でなければ成り立たないものだったようです。

 

 

 

 

 

 

 

【Qoo】
経済力と統率力を備えている人でなければ、家は建てられなかったんですね。

【Mrアーキ】
私が注文住宅を受ける際は、プロとして技術や経験を惜しみなく費やし、全力で建物を完成させ、施主さんに引き渡すことができるように努めています。「施主」が右と言えば右へ、左と言えば左へ、職人さんに指示を出し、現場を進めていきます。
ですから「施主」というものは、家を建てるという一大プロジェクトの監督者なんです。企業でいえば社長・経営者といったところでしょうか。
なので私は、誰でも家づくりというものを一度は、経験するべきだと思っています。それもできるだけ若いうちに。貴重な経験をし、良い思い出を得て、さらにそれまでの生活ではあまり関わりのなかった人達との繋がりを手に入れることが出来ると思うんですよ。

【Qoo】
責任重大だけど、貴重な経験を得ることができるんですね。

【Mrアーキ】
「施主になる」ということは「施主」である自覚をもった言動が求められるのかもしれません。