学童(放課後児童クラブ)は、小学生が放課後や長期休暇を安心・安全に過ごせる場所。仕事や介護などで忙しい保護者に代わり、政府が小学生の放課後を守るために実施している放課後児童健全育成事業です。
共働きの家庭にはありがたい制度ですが、子どもが学童を嫌がるのは困ったもの。何か解決策はあるのでしょうか。今回は、学童(放課後児童クラブ)に行きたくない子どもへの対応や気を付けるポイントなどについてまとめました。
目次
学童に行きたくないと言ったら?
小学1年生から6年生までが一緒に放課後や長期休みを過ごす学童(放課後児童クラブ)。実は、学校よりも長い時間を過ごす場所であることをご存知でしょうか?
全国学童保育連絡協議会による2007年の調査で、「学童で過ごす時間は、小学校で過ごすよりも510時間多い」という結果が出ています。
とても長い時間を過ごす学童(放課後児童クラブ)は、異年齢だからこそ味わえる貴重な体験や季節の行事などがたくさん。学童を楽しみにしている子どもが多い中、「行きたくない」という声があるのも事実です。
家で留守番させるのは心配なので、親としては学童に行ってもらいたい。しかし子どもは、どうしても学童に行きたくないと言っている。そんな時、どう対応すれば良いのでしょうか。
子どもの気持ちを理解する
なぜ「学童に行きたくない」という気持ちになったのか、子どもの気持ちを理解するようにしましょう。いつからそう思い始めたのか、きっかけは何だったのか。叱ったり問い詰めたりせず、子どもの話をじっくり聞く姿勢で向き合いましょう。
しかし、気持ちや経緯をうまく説明できないお子さんが多いのも事実。焦らず時間をかけて、話しやすい雰囲気を作ってください。学校の先生や学童(児童クラブ)の支援員に子どもの様子を聞き、それをもとに話をするのも良いでしょう。事実を曲げて話す子どもも多いですが、批判したり責めたりしないように。まずは「行きたくない」という気持ちを受け止めてあげてください。
どう過ごしたいか?を子どもと話す
学童(放課後児童クラブ)に行きたくない気持ちを十分理解できたら、学童でどう過ごしたいか、どんな学童だったら行きたいのか、子どもに聞いてみましょう。
騒がしい学童が嫌で、静かに過ごしたいのかもしれません。
暴力的な言動の子から離れ、平和に過ごしたいということもあるでしょう。
または、学童の規則が合わず窮屈な思いをしているかもしれません。学童に行っていない友達と遊びたいという理由もよくあることです。
子どもの個性や年齢によって、適した放課後の過ごし方が違います。
ちょっとした工夫や気持ちの持ちようで解決できれば良いですが、内容によっては学童側との話し合いも必要でしょう。
無理はさせない
学童(放課後児童クラブ)に行きたくない理由は、軽くて対応可能なものから、重くて解決できないものまで様々。家でゲームをしたいなど、単にわがままな理由で学童に行きたがらないのであれば家庭内の話し合いで解決できますが、何らかのトラブルを抱えストレスを感じているなど深刻な場合は、決して無理はさせないように。
先ほども触れた通り、子どもにとって学童は学校よりも多くの時間を過ごす場所。そこが辛い場所となってしまえば、子どもの健全な成長に悪い影響を及ぼしかねません。しばらく休ませて様子を見たり、退会することも視野に入れる必要があります。
他の選択肢の検討
学童(放課後児童クラブ)を退会しても、ひとりでお留守番はまだまだ心配。そんな時は、学童以外で安全な放課後を過ごす方法を探しましょう。
塾やクラブなどが放課後の居場所になるかもしれません。児童館などが実施している放課後子ども教室を積極的に活用するのも良いでしょう。
公立の学童だけでなく、民間の学童も検討してみてください。
料金は公立よりも高くなりますが、学習塾を兼ねたものや子どもの好きなことを伸ばせるカリキュラム、食事の提供のあるものなどバラエティ豊か。預かり時間に融通が利く所も多く、共働きの家庭は助かります。
また、ファミリーサポートなど公的サービスの利用も選択肢のひとつ。企業やNPOが実施している民間のファミリーサポートもあるので、情報を収集しておきましょう。
親が気をつけるポイント
嫌がる子どもを無理やり学童に行かせるのではなく、自分からすすんで行ってもらえるようになれば、安心して仕事に集中できますよね。子どもが学童に行きたがらない時、親としてどんな点に気をつけるべきでしょうか?
理由をしっかり聞く
学童に行きたくない理由は様々。
とても深刻なものから、「家でゲームをしたい」「学童に行っていない友達と遊びたい」というものまであります。特に理由もなく「行きたくない」気分なだけかもしれません。
なかなかはっきりと理由を言えなかったり、辛い気持ちを言えずに我慢してしまう子どももいます。親は、子どもの本音を聞き出せる環境づくりを心がけましょう。
注意が必要なのが、子どもの話を鵜呑みにしないということ。
子どもにとっては事実だけれど、実際は違うということも多いもの。親を納得させるために話を盛ったり、自分の都合の良いように作り話をしてしまうこともよくあります。「嘘つかないで!」と責めるのではなく、まずは傾聴の姿勢で受け止めてあげてください。
指導員に相談する
指導員(支援員)との関係は良好でしょうか。何かあったらすぐに相談できる関係づくりができていれば安心です。支援員は、親が知らない子どもの一面も見ているもの。保護者目線ではなく支援員目線で、子どもの意外な姿を伝えてくれるでしょう。
まずは話しやすい支援員に子どもの相談をしてみましょう。
それから主任支援員に話をしたり、解決が難しい場合は市役所などにある放課後児童クラブを管轄している部署に相談も可能です。
信頼できる学童ママ友を見つけておく
学童ママ友の存在はとても心強いもの。ちょっとした疑問や問題を相談したり、ともに乗り越えたり喜びあったり。情報の共有もできて、子育ての不安が軽くなります。
学童ママ友がいない場合は、学童の行事や保護者会などに積極的に参加し探してください。お迎えなどの時間を利用して話かけてみるのも良いでしょう。何年もその学童に子どもを通わせているベテランママ友は、学童の内容や支援員の特性もよく知っているので頼りになります。気の合う学童ママ友ができると嬉しいですね。
注意が必要なのは、過度に依存すること。お互いのプライバシーを守ったり、うわさ話や陰口をしないなど、誠実で節度ある対応を心がけましょう。
意識して親子で過ごす時間をつくる
学童に行くのが大好きな子どもであっても、やはり親と過ごす時間が一番うれしいもの。子どもとゆっくり過ごす時間は、親にとっても癒しとなるでしょう。
しかし、共働き家庭は超多忙。子どもとじっくり話ができる時間はありません。それでも、ちょっとした隙間に時間をつくったり週末にまとめて親子の時間をとったりなど、親子の時間を確保するように。特に学童に行きたがらない子どもとは意識して一緒に過ごし、絆を深めてください。
親子の絆が深まることで、子どもは安心し気持ちが安定します。少々のストレスも跳ね飛ばす力を得るため、学童に行きたくない気持ちも薄れ、前向きになれることでしょう。
まとめ
学童(放課後児童クラブ)は共働き家庭の強い味方。ひとりでお留守番させるのが心配な子どもに、安心・安全な放課後を提供しています。そんな学童に子どもが行きたがらないのは、親としてとても心配。できる限りの対策を施し、笑顔で通ってほしいですね。
まずは行きたくないという気持ちを受け止め、子どもの話をじっくり聞くこと。学童側に相談して客観的な事実を確認し、問題があった場合は対策してもらいましょう。支援員や学童ママ友と良好な関係を築くと、情報収集に役立ちます。また、決して無理強いせず、休所や退会を視野に入れることも大切。
親子で放課後児童クラブという制度を賢く利用し、子どもの成長に役立てましょう。