佐世保から車で2時間弱。城下町ならではの『品』と、昔ながらの『懐かしさ』に溢れ、いまあらためて「エモい」「レトロ可愛い」と注目が集まっている島原市へ。オトナ心をくすぐる体験や、話題のお洒落スポットを巡ってきました。佐世保とはひと味違う空気を吸って、ちょっぴり閉鎖的だった気分もリフレッシュ。街を愛する人々の優しさと歴史に触れる旅でもありました。
鯉の泳ぐまち周辺
島原は「水の都」といわれるほど湧き水の豊富な町。市内には、商店街や中心部をはじめ、なんと約70ヶ所の湧き水ポイントがあるんです。また「飲泉所」として、飲むのに適した温泉を無料で気軽に飲むことができるスポットも7ヶ所あり、どちらもはるばる求めに行くほど「湧き水・温泉好き」の私としては、羨ましい限り。そんな島原の中でもこの周辺は、昔ながらの風情と共に、清らかな湧き水がすぐ側にある暮らしを体感できるので、散策にはピッタリ。周辺の駐車場に車を止め、お昼前の運動がてらに少し歩くことにしましょう。
湧き出る水が水路に
島原駅から徒歩約7分という島原市の中心部。島原らしい和風の建物が建ち並ぶこの通りは、一見すると分かりづらいですが、歩いてみると、建物のすぐ脇を水路が流れているのに気づきます。実はこの水路を流れるのが、この周辺から湧き出る湧き水。そばに寄って見てみると、その透明度の高さに気づきます。そしてここを優雅に泳ぐのが、今や島原を代表する風景のひとつとなった錦鯉。約100メートルに渡るこの水路をさらに活用しようと、昭和53年、地元の方が中心となって放流されたそう。人が歩くすぐ側を鯉が泳いでいるのは新鮮ですが、近くを猫が通り、なんだかちょっと心配に…。しかし地元猫にしてみたらは見慣れたものなんでしょうね。目もくれず歩いていきました。ちなみにこの鯉は、毎年5月に放流されているそうですよ。
この通りは午前9時~午後5時までは歩行者専用道路。
そのことをお知らせしてくれているのは、湧き水とかんざらしがモチーフという島原のゆるキャラ「しまばらん」です。彼の姿は市内のあちこちで見られ、お土産店ではオリジナルグッズも販売されていましたよ。しまばらんの趣味は『毎日、朝五時に起き、まちを散策しながらマイボトル(特製のひょうたん)を使って<湧水>を飲むこと』だとか。この辺りの水も、彼のひょうたんボトルにきっと入っているんでしょうね。
湧き水のある暮らし
通りをしばらく歩いていると、その昔、湧き水とともにあった人々の生活や文化が、自然とオーバーラップして見えてくるような、不思議な感覚になってきます。そんな折、甘味処の横の水路で冷やされたラムネを発見。きっと昔は本当にこの水路で、いろんな食材を冷やしたり、洗ったりしながら、ご近所さん同士の会話が繰り広げられていたんでしょうね。そんな湧き水のある暮らしは、観光施設となった家屋からも感じることができました。
まるで老舗の料亭のような門構えの「湧水庭園 四明荘」は、当時開業医だった方が明治後期に別邸として建てたもの。国の登録有形文化財となっています。立派な庭園に囲まれて、鯉が優雅に泳ぐ広い池があるというだけでももちろん贅沢ですが、ここの池は、1日3,000トンも湧き出るという湧き水が造り上げたもの。なのでいつでも透明度が高く、まさに水が湧き出るところも縁側から眺めることができるのです。普段から、湧き水に大地の神秘やエネルギーを感じ、できればずっと見ていたいと思うほど湧き水好きの私にしてみれば、本当に羨ましいお庭です。自分の家の庭に湧き水がある暮らし。佐世保ではなかなかイメージできない光景ですよね。
そしてこちらも、もともとは昭和初期に建てられた個人宅で、今は無料休憩所として利用されている「しまばら湧水館」。宅地133.8坪、ツガ材で出来た木造瓦葺平屋の立派な建物は、気品ある暮らしが営まれてきたことを感じさせる独特のオーラがあり、中に入る際には少し襟を正すほど。地元の名士の家にお伺いするような、ちょっとした緊張感も感じられる建物です。実際には、入り口に沢山の観光パンフレットが置かれ、島原名物「かんざらし」の手作り体験(500円)ができるなど、気軽に立ち寄れるスポットなのですが、家や庭、そして環境も大切に暮らすことが、きっと「品性」にも繋がるんだろうなと感じさせてくれた場所でした。
しまばら湧水館 | |
住所 | 島原市新町2丁目122 |
電話番号 | 0957-62-8102 |
利用時間 | 9:00〜18:00 |
休み | 無休 |
湧水庭園 四明荘 | |
住所 | 島原市新町2丁目125 |
電話番号 | 0957-63-1121 |
利用時間 | 9:00~18:00 |
休み | 無休 |
入館料 | 大人310円 小人150円 |
ホームページ | https://www.city.shimabara.lg.jp/page943.html |
水の都の情報館で、こだわりのお土産を
一見旅館かなにかと見間違うかのようなこちらの建物。
観光交流センターの「清流亭」です。池の上に建てられているスペースは床がガラス張りになっていて、上に立つとまるで池の上に浮いているかのよう。鯉が真下を泳いでいくのも不思議な感覚です。
ここは観光案内や休憩スペースのほか「島原スペシャルクオリティ」に認定された商品の展示・販売もされていました。じっくり選んで、私がここで購入したものはこちら。
島原の生姜農園さんが作られた「ジャムdeしょうが」と「シロップdeしょうが」。最近ますます女性に人気が高いということで気になっていた生姜商品です。原材料を見てもシンプルなものばかりで、安心できるのも魅力でした。家でトライしてみたところ、そのまま舐めると甘辛いですが、パンに塗ったりドリンクにすると辛味が和らぎ、爽やかな風味を堪能できましたよ。
観光交流センター/清流亭 | |
住所 | 島原市新町2丁目247-1 |
電話番号 | 0957-64-2450 |
利用時間 | 9:00〜18:00 |
休み | 無休 |
ホームページ | https://www.city.shimabara.lg.jp/kanko/page2916.html |
お腹が空いたのでここは王道で、六兵衛(ろくべえ)
島原に美味しいものは沢山ありますが、やはり島原でしか食べられない王道グルメをいただきに、「鯉の泳ぐまち」エリアから歩いて6~7分の場所にある「六兵衛」さんへ。
「ろくべえ」とは、島原の郷土料理の名前。かつて島原が大飢饉に襲われたとき、主食としていたサツマイモをアレンジして、六兵衛という方が考案したものとされています。
生のサツマイモを乾燥させて作るサツマイモ粉で作った麺は、見た目の色はソバのようで、麺の太さはうどんのよう。しかし、味・食感共にどちらとも全く違います。まず、ほんのり甘いのです。サツマイモが原料なので当たり前といえば当たり前。そして食感は、つなぎに山芋が使われていることもあって、プルプルもちもち。
これをお出汁でいただくと、他の何にも例えられない独特の味わいなのです。食べてみないとわからないオンリーワンの郷土料理なので、島原に来た際の「せっかくグルメ」だと思いますよ。
同じ生地で作った「ろくべえ万十(100円)」は、おばあちゃんを思い出すようなどこか懐かしい素朴な味。テイクアウトも出来るので、おやつとしてどうぞ。
六兵衛(ろくべえ) | |
住所 | 島原市萩原1丁目5916 |
電話番号 | 0957-62-2421 |
営業時間 | 店舗の営業時間に関してはお問い合わせください |
休み | 火曜 |
駐車場 | 有り |
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