海を見る。空をみる。温泉にとけてゆく。源泉ミストが出迎える、小浜の魅力を次のステージへ牽引する個室露天の宿。

暮らす

創業1669年の老舗の宿が、昨年生まれ変わった。

ガラス張りのレストランが横に見えるエントランスは、近代的なリゾートホテルの雰囲気でありながら、その壁に大きくデザインされた家紋には、歴史ある宿の気品がしっかりと宿っている。

『伊勢屋旅館』から『伊勢屋』となったこの宿は、55室あった客室を24室にすることで、全室がオーシャンビューで個室露天風呂付き。団体旅行のイメージが強かったここ小浜で、プライベートの旅人をとことん優しく癒してくれる宿へと進化していた。

老舗の息吹を令和の宿に

ここまでの大胆なリニューアルは、さぞ勇気がいったことだろうと、若き女将と社長にお話をお伺いしたところ、やはり構想には三年以上の月日が費やされていた。お二人の考えや気持ちを理解してくれる建築家を探し、そこからまた考えを磨き合わせていく。『伊勢屋らしさとは何か』を、皆で丁寧に追求していった結果、隅々まで心配りのされた、この居心地の良い空間が造りあげられているのだ。

館内をさりげなく灯す照明は、六本木ヒルズやJR京都駅の照明デザインも手がけた、面出薫率いるライティングプランナーズアソシエーツによるもの。ふわっと優しい明かりは、目への刺激も少なく、まるで自然光のような柔らかさ。館内に入るだけで癒されるようなこの空間作りに、一役買っているのは間違いない。

一見洋風な作りにも関わらず『伊勢屋らしさ』を感じるのは、そこに空間や自然光を大切にした「わび・さび」が存在するからでもある。エントランスから入って正面にみえる、大きなガラス窓に囲まれた中庭は、デッキにチェアーという洋風スタイル。しかし、空間を活かしたその絶妙な配置により、黒と朱色の和風の外壁にもすんなりと溶け込んでいる。背景に少しだけ見える裏山と合わせ、小浜の自然を感じさせてくれる風情のようにも見えてくるから不思議だ。

ミストを生む源泉かけ流し

小浜といえば、忘れていけないのはもちろん温泉。海に近いこともあり、ほんのりしょっぱい食塩泉が最大の魅力だが、源泉で入るには高すぎる105度という温度が、ひとつの難でもあった。それを解決した目を見張るアイディアが、この大浴場にはある。

館内で引かれる自家源泉を、壁一面に吊るされた竹の小枝に這わせ、ナチュラルに放熱させているのだ。

空気に触れた源泉は、細かいミストとして浴場に揺らめきつつ、下に滴り落ちるときには、源泉のまま入れる温泉へ。これが、105度の源泉の『源泉かけ流し』を実現させた。身体の芯から温まるのはもちろん、飲用効果もある温泉をミストとして取り込めるのは、ここならでは。もちろん、美肌効果も望めるし、視覚的にも充分楽しませてくれる。

ここで生まれるミストは、エントランス横から蒙々と立ち上がり、今の伊勢屋のシンボルにもなっている。

部屋にいるだけで

24室となった客室は、最大5名まで泊まれるジュニアスイートと、最大4名まで泊まれるスタンダードがある。どの部屋からも広い空と海が見渡せ、自家源泉がしとしとと流れる個室露天も完備。気の置けない人だけで、ゆったりと温泉に浸かりながら、橘湾を染める夕日も堪能できるという訳だ。

刻々と表情を変える空や海は見飽きることなく、ただボーっと眺めてしまう。それだけでも日頃の重荷が解き放たれていくようだ。
老若男女が使い易いよう高さも計算されたベッドは、眠りに着くときも朝起き上がるときも心地よい。

この部屋にいるだけで癒され、満足してしまう人が多いというもの納得の、シンプルながら、小浜の魅力を最大限に吸収できる空間となっていた。

小浜の新たな魅力に気づく宿

かつてあった小浜のイメージは、ここにはない。あるのは、究極の癒しだ。人間の手の届かない空や海、そして大地が生んだ温泉に包まれる癒し。何かをするのではなく、何もしないという幸せに気づかせてくれる。そして明日への活力は、腕の確かな料理人だからこそアレンジできる、その日そのとき旬を迎える小浜の海山の幸が与えてくれる。

その昔、津波や溶岩から町民を守った龍がいたという伝説の残る小浜。その強く優しいエネルギーを全身で体感させてくれたのは、創業300年以上の歴史を持ちつつ大きく生まれ変わったこの宿だった。小浜の海岸線も、港のイメージからリゾート感溢れるものへと変わりつつある。ぜひ新たな視点で、小浜の魅力をこの宿で堪能して欲しい。

・ジュニアスイート お1人様16,500(税込) ~
・スタンダード   お1人様14,300 (税込)~
・日帰り湯

「住まいリングさせぼ」編集部長

橋本鎌嗣(ニックネーム:もっちゃん)
「住まいリングさせぼ」編集部長

佐世保生まれ、一児のパパ。サイト監修者であり、佐世保・小値賀「海風の国」観光マイスター。宅地建物取引士の資格も有し、不動産や住まい、暮らしのアドバイスも。「佐世保に住もうよ!愛する地元の魅力をもっと伝えたい!!」

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